CopilotとChatGPTの違いと使い分け|業務で選ぶ4つの基準

「ChatGPTは情報が学習に使われるから危ない。だからCopilotにする」。社内の説明でよく聞く理屈ですが、法人向けのプランで比べると、この前提は成り立ちません。Microsoftは基盤モデルの学習に使わないと明記し、OpenAIも既定では学習に使わないとしています。契約上の保護も両社が用意しています(適用される処理の範囲は違うので、そこは後述します)。では何が違うのか。分かれ目は社内データへの繋がり方です。この記事では、公式に書かれている内容を並べたうえで、業務で選ぶときの4つの判断基準と、両方を使う会社が決めることを整理しました。

この記事でわかること

  • 「学習に使われる/使われない」で比べても差が付かない理由
  • 本当の分かれ目である社内データへの繋がり方
  • 業務で選ぶ4つの判断基準
  • 両方を使う会社が決める3つのこと
  • 個人アカウントの利用がいちばん危ない理由

この記事の信頼性:本記事は、京都市左京区(百万遍)に拠点を置く株式会社ノーコードソリューションズが、生成AIの導入支援・活用研修を手がけてきた実践に基づいて執筆しています。両社の仕様は2026年8月23日に各社の公式ドキュメント(Microsoft: learn.microsoft.com/OpenAI: openai.com)で確認した内容です。使い分けの判断軸には弊社の支援で得た知見を含みます。最新の内容は各社の公式ページでご確認ください。

出典:Microsoft Copilotとは/エンタープライズデータ保護(2026-08-24確認)


目次

「学習に使われるか」で比べても差は付かない

先に対象をそろえます。この記事で比べるのは、Microsoft側がCopilot Chat(追加ライセンス不要)とMicrosoft 365 Copilot(有償の追加ライセンス)、OpenAI側がChatGPT BusinessとChatGPT Enterpriseです。OpenAIのAPIは、業務アプリに組み込む用途なのでプランとは別に扱います。

そのうえで、いちばんよく使われる比較軸から確かめます。公式にはこう書かれています。

観点 Microsoft Copilot ChatGPT(法人向けプラン)
モデルの学習 プロンプトと応答は基盤モデルの学習に使われない 「既定では、お客様のビジネスデータをモデルの学習には使用しない」(Business、Enterprise、Edu、APIなど)。APIでは明示的に許可することもできる
契約上の保護 プロンプトと応答はデータ保護補遺(DPA)と製品条項の対象で、Microsoftはデータ処理者として扱われる。ただしBingへ送られるWeb検索クエリは扱いが別で、Microsoftは独立した管理者になる GDPR対応のため、Business・Enterprise・APIでDPAを締結できる
処理の境界 プロンプトと応答はMicrosoft 365のサービス境界内で処理される 提供事業者側の環境で処理される
第三者による監査 Office 365としてSOC 2 Type 2の保証報告がある SOC 2 Type 2 の監査を完了している
管理者の統制 IT管理者向けの制御が用意されている SAML SSOによる認証と、アクセスや機能のきめ細かな制御
保持期間 プロンプトと応答は監査・eDiscovery のためにExchangeへ記録される。保持ポリシーを適用できる Enterprise等では保持期間を利用者側で制御できる。削除した会話は原則30日以内にシステムから削除される
危ないのはアカウントの種類です

上の表はどちらも法人向けプランの話です。実務でいちばん事故が起きるのは、社員が個人のアカウントで業務情報を入力する場面です。CopilotにもChatGPTにも個人向けの入口があり、そこには会社の契約も管理者の統制も及びません。製品を選ぶ議論より先に、社内で誰がどのアカウントを使っているかを確かめてください。


本当の分かれ目は、社内データへの繋がり方

Copilotは、Microsoft 365の中にある業務データへ標準の経路で繋がります。ChatGPTは、渡した範囲を扱います。

Copilot側の繋がり方

有償ライセンスがある利用者は、Work IQとセマンティック検索を通じて、メール・ファイル・チャット・会議・人・プロジェクトといった業務データを参照できます。職場アカウントでサインインすると画面にWork IQの切り替えが出て、業務データを根拠にするか、Webと添付だけにするかを選べます。表示されるのは、そのアカウントがもともとアクセスできる範囲だけで、権限は広がりません。参照したファイルに秘密度ラベルが付いていれば、そのラベルも表示されます。

追加ライセンスがない場合も、指定したファイル、対応アプリで開いている内容、Outlook内の限定的なデータ、設定済みのエージェントという経路で社内データを扱えます。ただしこれは、組織のデータ全体を標準で検索する機能ではありません。横断して探させたいなら有償ライセンスが要ります。

ChatGPT側の繋がり方

こちらも社内データに繋がります。ファイルのアップロード、コネクタの設定、APIでの呼び出し。SharePointに接続するアプリも用意されており、権限を保ったまま検索できます。Microsoft 365の中にも外にも繋げられる代わりに、どこに繋ぐかを自分で決めて設定するという手間がかかります。

違いは「繋がるかどうか」ではありません

どちらもMicrosoft 365の中にも外にも繋がります。分かれるのは標準で連携している範囲、設定にかかる手間、管理のしかた、そして費用です。Microsoft 365に情報が集まっていて追加の設定を増やしたくないならCopilot、繋ぎ先を自分で選んで組み立てたいならChatGPT側。社内の情報がどこにあり、誰が設定を維持するのかで決まります。

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業務で選ぶ4つの判断基準

基準 Copilotが向く ChatGPT側が向く
1. 情報の置き場所 資料・メール・議事録がMicrosoft 365に集まっている 情報が複数のサービスに散っている。繋ぎ先を自分で選んで組み立てたい
2. 作業の場所 Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsの中で完結させたい ブラウザやアプリ上で、文章・企画・分析をまとめて進めたい
3. 使う人 普段からOfficeを使う一般の社員。新しい画面を覚えなくていい 試行錯誤しながら使える人。プロンプトを工夫する余地が大きい
4. 作りたいもの 日常業務の時短。既存の文書とメールを起点にした作業 自社専用の仕組み。業務システムに組み込むAI機能

3番目は見落とされがちですが、定着に直結します。Copilotの強みは、新しい画面を開かなくていいことです。普段Wordで文書を書いている人は、Wordの中で使えます。一方、別のツールを開いて使うことに抵抗がない人にとっては、大きな差になりません。

価格で比べる前に確かめること

費用の比較から入ると、判断を誤ります。Copilotには要件があり、たとえばメールボックスがExchange Onlineに無いと中核の機能が働きません。オンプレミスやハイブリッド構成のままでは、買っても効果が出ません。まず要件を満たしているかを確認し、そのうえで金額を比べてください。プランと費用は改定されるため、各社の公式ページで確認をお願いします。


両方を使う会社が決める3つのこと

実際には、片方に統一している会社のほうが少数です。部署によって使うものが違い、個人が勝手に増やしている状態から始まります。両方あることを前提に、次の3つを決めてください。

1. 会社が認めるアカウントを決める

製品の選定より優先度が高い作業です。どのアカウントで使ってよいかを明文化し、個人アカウントでの業務利用を禁止します。禁止するだけでは使われ続けるので、認めたアカウントを配るところまでをセットにしてください。使えるものが無い状態で禁止だけすると、見えないところで使われます。

2. 入れてよい情報の線を引く

法人向けプランなら学習には使われませんが、それと「何を入れてよいか」は別の話です。顧客の個人情報、未公開の財務数値、他社との秘密保持契約に関わる内容。自社の規程として線を引いてください。製品の安全性とは別の話です。この線は、CopilotでもChatGPTでも同じものを使えます。

3. 使い分けを1行で言えるようにする

現場に届く形は1行です。比較表は届きません。「Microsoft 365の中の資料を使うならCopilot、それ以外の調べ物や下書きはこちら」。この程度に単純化しておかないと、毎回迷って結局どちらも使われません。判断に迷う場面が出てきたら、そのつど1行を足していきます。

よくある失敗

  • 「学習に使われるか」だけで選ぶ:法人向けプランなら両社とも使いません。差が付きません
  • 製品を決める前に個人アカウントを放置する:いちばん保護が弱い経路が残ります
  • 要件を確認せずに費用を比べる:Copilotは要件を満たさないと中核が働きません
  • 比較表を配って終わり:現場に届くのは1行のルールです

自社システムと繋いだAIを作る方向なら、AI内製化の進め方や社内GPTの導入事例で、作り方と判断の材料を扱っています。


活用イメージ|研修の2ケース

ケースA:Copilot Coworkの導入支援と活用研修

部署ごとの実データを教材にして、指示文のテンプレートと運用ルールを研修のなかで整備しました。使い分けのルールも、実際の業務に当てはめて決めるほうが守られます。

Copilot Cowork導入支援・活用研修の事例を読む →

ケースB:中小製造業でのCopilot研修

PC操作に慣れていないメンバーが多い現場では、使うものを1つに絞るほど定着します。日報や集計表のように毎日触るファイルから入り、範囲を広げるのは最初の業務が定着してからにしています。

Copilot研修・中小製造業A様の事例を読む →


よくある質問

Q.ChatGPTに入れた情報は学習に使われますか。
A.法人向けプランでは、既定では使われません。両社の記載は本文の比較表にまとめました。1点だけ補足すると、OpenAIのAPIでは明示的に許可することもできるので、自社の設定を確認してください。

Q.結局どちらが安全ですか。
A.法人向けプランで比べる限り、どちらも契約による保護の枠組みがあります。ただし適用される処理の範囲は同じではありません。たとえばCopilotでも、Bingへ送られるWeb検索クエリは別の扱いになります。DPAと各サービスの追加条件を確認してください。そのうえで、安全性の差より大きいのは社員が個人のアカウントで業務情報を入力しているかどうかです。

Q.社内の資料を読ませたいのですが、どちらが向いていますか。
A.どちらも繋がるので、決め手は設定と管理の手間です。Microsoft 365に集まっていて追加の設定を増やしたくないならCopilotが向きます。情報が複数のサービスに散っていて繋ぎ先を自分で選びたいなら、ChatGPT側やAPIを使った作り込みが向きます。なおCopilotで組織データを横断して探させるには、有償ライセンスが要ります。

Q.両方は無駄ではありませんか。
A.向いている業務が違うので、無駄とは限りません。ただし全員に両方を配ると費用も教育も倍になります。日常業務の時短が中心の層にはCopilot、企画や分析で試行錯誤する層にはもう一方、といった配り方が現実的です。

Q.費用で比べるとどちらが有利ですか。
A.費用の前に要件を確認してください。Copilotは、たとえば利用者のプライマリメールボックスがExchange Onlineにないと中核の機能が働きません。要件を満たさないまま買うと、金額の比較そのものが無意味になります。プランと費用は改定されるため、各社の公式ページでご確認ください。

Q.社内でルールを作るとき、何から書けばよいですか。
A.認めるアカウント、入れてよい情報の線、使い分けの1行。この3つで足ります。とくに1つ目は、禁止だけで終わらせず、使ってよいものを配るところまでをセットにしてください。使えるものが無い状態で禁止すると、見えないところで使われます。弊社では、この整理から活用研修までを一緒に進めています。

まとめ|情報がどこにあるかで決まる

「学習に使われるか」で比べても差は付きません。Microsoftは基盤モデルの学習に使わないと明記し、OpenAIも既定では使わないとしています。契約上の保護も両社にあります。この軸で選定を進めると、判断の材料が揃わないまま金額の話になります。

この4つを自社の状況に当てはめると、どちらが手間の少ない選択かが見えます。次から順に見ていきます。

選ぶときの基準は4つ。情報の置き場所、作業の場所、使う人、作りたいもの。3番目は定着に直結します。新しい画面を開かなくていいことは、普段Officeで仕事をしている人には大きな利点です。

そして製品より先に決めることがあります。会社が認めるアカウント、入れてよい情報の線、使い分けの1行。個人アカウントでの業務利用が残っている限り、どちらを選んでも保護は届きません。

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神戸商工会議所・石川県庁など、各地の商工会議所や自治体でAI活用セミナーに登壇しています。現場で得た知見をもとに、京都の中小企業のAI導入を支援しています。

監修

ノーコードソリューションズ 代表取締役 仙入功樹

仙入 功樹 せんにゅう こうき

代表取締役

ノーコードソリューションズ COO 吉村祐樹

吉村 祐樹 よしむら ゆうき

COO

本記事はAI導入支援の実務担当が監修しています。京都の中小企業を中心に、AI導入の相談から開発・研修・運用定着までを支援しています。監修者の経歴と登壇実績はメンバー紹介をご覧ください。

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