Copilotが「使えない」と言われたら|原因の切り分け3段階

「Copilotが使えない」と言われたとき、見に行く場所は3つです。アプリに機能が出てこないなら環境の設定、返ってくる答えが役に立たないなら参照できるデータ、誰も開いていないなら運用。対策より先に、どれに当たるのかを確かめるところから始めます。ライセンスを配って半年、現場からは不満の声だけが返ってくる。導入支援の相談でよく聞く状況です。3つは直す場所が違うので、混ぜたまま対策を打つと外れます。この記事では切り分け方と、管理センターの数字で確かめる手順を整理しました。推測で議論しないための材料です。

この記事でわかること

  • 「使えない」を3種類に切り分ける質問のしかた
  • ライセンスを配ったのに機能が出てこないときに見る4か所
  • 精度が出ない原因の多くが指示文ではなくデータ側にある理由
  • 管理センターの準備状況レポートで測れること
  • 使われているかをアプリ別に確かめる方法
  • 直す順番と、やってはいけない使い方

この記事の信頼性:本記事は、京都市左京区(百万遍)に拠点を置く株式会社ノーコードソリューションズが、Microsoft 365 Copilotの導入支援・活用研修を手がけてきた実践に基づいて執筆しています。管理機能とレポートの仕様は、2026年8月23日に確認したMicrosoft公式ドキュメント(learn.microsoft.com)で確認した内容です。切り分けの進め方には弊社の支援で得た知見を含みます。最新の仕様は公式ページでご確認ください。

出典:Copilotの設定とライセンス割り当て/使用状況レポート(2026-08-24確認)


監修

仙入 功樹せんにゅう こうき

代表取締役

吉村 祐樹よしむら ゆうき

COO

本記事は、AI導入の相談から開発・研修・運用定着までを支援している実務担当が監修しました。監修者の経歴と登壇実績はメンバー紹介に載せています。

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目次

「使えない」は3つに分かれる

最初にやるのは質問です。対策はそのあと。どれに当たるのかを、言った本人に確かめてください。

種類 現場の言い方 見に行く場所
1. 出てこない 「ボタンがない」「押しても何も起きない」 ライセンス、更新チャネル、アプリのバージョン、プライバシー設定。環境の問題
2. 精度が出ない 「当たり障りのない答えしか返らない」「うちのことを知らない」 参照できるデータの範囲と、その置き場所。データの問題
3. 使われない (誰も何も言わないまま、使われていない) 対象業務の選び方と教育。運用の問題

厄介なのは3番目です。1と2は声が上がりますが、3は苦情すら来ません。ライセンス費用だけが毎月出ていき、半年後の更新の判断で初めて話題になります。声が上がっていないことを、うまくいっている証拠にしないでください。


ライセンスはあるのに出てこない理由

1番目の「出てこない」は、Copilotの出来とは別のところで止まっています。見に行く場所は4つ。上から順に片付けるのがいちばん早く終わります。

見に行く場所 確かめること
ライセンスの割当 購入してあっても、本人に割り当てられていなければアプリ内の機能は出てきません。準備状況レポートの「割り当て済みライセンス」で、配ったはずの人数と合っているかを見てください
更新チャネル 現在のチャネルまたは月次エンタープライズチャネル以外では、ライセンスを割り当ててもアプリ内のCopilot機能を使えないことがあります。「うちの部署だけ出てこない」はここが原因になりやすい箇所です
アプリのバージョン デスクトップアプリが古い版のままだと、機能が入った版に上がっていません。更新を当てて再起動してから、もう一度確かめてもらいます
プライバシー設定 組織の設定で接続エクスペリエンスを絞っている環境では、機能が表示されない場合があります。全社一律で無効にしていないかを確認してください

4つとも、現場のPCを1台ずつ触らなくても、上2つは管理センターの数字で分かります。「出てこない」と言われたら、まず準備状況レポートを開いてください。残り2つは、該当者のPCで更新とプライバシー設定を見ます。

もう1つ、同じCopilotという名前でも、無料で使えるCopilot Chatと追加ライセンスのMicrosoft 365 Copilotでは触れる範囲が違います。使えないと言われた機能が、そもそも無料版の対象外だったという場合も珍しくありません。どこまでが無料版なのかはCopilot ChatとMicrosoft 365 Copilotの違いに、買う前に確かめる要件はMicrosoft 365 Copilotの最低要件にまとめました。


精度が出ない原因は、たいていデータ側にある

2番目がいちばん相談が多く、いちばん誤解されています。「指示文の書き方が悪い」で片付けられがちですが、指示文を直しても改善しないケースがあります。Copilotが参照できる情報が、そもそも無い場合です。

確認する4つの層

上から順に確かめてください

  1. ライセンスの層:追加ライセンスが無い場合、社内データを横断して意味で探す機能は使えません。その場でアップロードしたファイル、開いている内容、Outlook内の一定範囲、組織データに接続されたエージェント経由に限られます
  2. 権限の層:Copilotが見えるのは、その人がもともとアクセスできる範囲だけです。参照させたい資料に本人の権限が無ければ、当然出てきません
  3. 置き場所の層:文書を継続的な検索の対象にするなら、SharePointかOneDriveへの格納が基本です(有料のCopilotは、権限のあるメール・会議・チャットや、設定済みの外部データも参照します)。過去の提案書がファイルサーバーや個人PCに散っていると、一般論しか返りません
  4. 指示文の層:ここまでが揃って初めて、指示文の書き方が結果を分けます

順番が大事です。3番目が埋まっていない会社で指示文の研修をしても、成果は出ません。「うちのことを知らない」と言われたら、まず資料の置き場所を聞いてください。実際、ここが原因だったという相談は珍しくありません。

データ側を直すのは、情シスだけの仕事ではない

置き場所を移す作業は情シスでもできますが、「どの資料を参照させたいか」を決められるのは業務部門です。過去案件の提案書、社内用語集、規程の最新版。これらがSharePointに整理されているだけで、返ってくる文章がまるで変わります。逆に、古い版と新しい版が同じ場所に並んでいると、古いほうを引いてくることがあります。置くだけでなく、古い版を片付けるところまでが準備です。

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推測せずに測る|準備状況レポート

3番目の「使われない」は、感覚で議論すると終わりません。Microsoft 365管理センターにCopilotの準備状況レポートがあり、誰が使える状態で、誰が実際に使っているかを数字で見られます。

開き方Microsoft 365管理センター →「レポート」→「使用状況」→「Microsoft Copilot」→「Copilot」。最初のタブが準備状況、隣の使用状況タブで実際の利用を見ます。準備状況タブは過去28日分で、データには最大72時間の遅れがあります。使用状況タブは7・28・90・180日から選べ、2026年8月時点では通常48時間以内に反映されます。

準備状況タブで分かること

項目 内容
前提ライセンスの総数 Copilotの前提となる対象ライセンスを1つ以上割り当て済み、または割り当て可能な利用者の合計
対象の更新チャネルの利用者数 現在のチャネル、または月次エンタープライズチャネルに登録されている利用者の数。対象外のチャネルでは、ライセンスを割り当ててもアプリ内のCopilot機能を使えないことがあります
割り当て済みライセンス すでにCopilotのライセンスが割り当てられている利用者の数
利用可能なライセンス Copilotのライセンスが未割当で、割当の候補になる利用者の数。購入済みライセンスの残数とは別の指標です

推奨アクションのカードも出ます。利用者を月次の更新チャネルへ移す、未割当のライセンスを割り当てる、そしてViva InsightsのCopilotダッシュボードで導入状況と効果を見る、といった内容です。更新チャネルは「うちの部署だけ出てこない」の原因になりやすいので、ここが数字で見えるのは大きいところです。

利用者ごとの表で、下地の使われ方が見える

公式が示す列は8つ。利用者名、Copilotライセンスの割当、対象の更新チャネル、Teams会議、Teamsチャット、Outlookメール、Officeドキュメント、そしてCopilotの推奨候補です。

この4列はCopilotの利用実績ではありませんTeams会議・Teamsチャット・Outlookメール・Officeドキュメントの列が示すのは、Copilotと相性のよいMicrosoft 365アプリを使っているかどうかです。Copilotを実際に使ったかどうかは、隣の使用状況タブで確認します。ここを混同すると、「アプリは使っているのでCopilotも使われている」と誤読します。

CSVに書き出して並べ替えや絞り込みができます。ただし部署の列はないので、部署別に集計するときは識別情報を表示したうえで別の組織情報と突き合わせます。

もう1つ、「Copilotの候補として推奨される利用者」という列があります。ライセンスを持っていない利用者のうち、直前28日のアプリ利用の強さから上位25%を毎週選び直す機能です。25%のなかに順位は付きません。初期導入や試行の候補を選ぶための材料で、業務の効果や個人の能力を示すものではありません。

この数字を人事評価に使わないでください公式に「このデータは従業員のパフォーマンス評価に使うことを意図していない」と明記されています。誰に配ると効果が出やすいかを判断するための材料です。なお使用状況レポートでは、利用者名や表示名が既定で伏せられています。表示させるなら、目的を先に決めてください。


直す順番

直す順番があります。逆にすると手戻りが出ます。

1

環境を揃える

準備状況レポートで、更新チャネルとライセンスの割り当てを片付けます。ここが揃っていない状態で研修を組むと、当日に動かない人が出ます。数字で見えるので、いちばん早く終わる工程でもあります。

2

参照させる資料を置き直す

業務部門と一緒に、参照させたい資料を3種類ほど決めます。過去案件、社内用語集、規程の最新版あたりが候補です。SharePointかOneDriveへ移し、古い版を片付けます。あわせて、閲覧権限が実態より広く付いている資料がないかを確認します。

3

業務を1つ決めて教える

機能一覧の研修は避けて、その部署が毎月やる業務を1つ選びます。経理なら月次の推移表、営業なら案件一覧の整理。業務効率化を進める手順と同じで、成果が見えるものを1つ作ってから広げます。

4

4週間後に使用状況を見る

見るのは研修の満足度ではありません。レポートの使用状況です。使われていなければ、選んだ業務が合っていなかったか、2番目が終わっていなかったかのどちらかです。ここで戻れる設計にしておくと、半年後に「効果が分からない」とならずに済みます。

よくある失敗

  • 「精度が悪い」を指示文の問題として片付ける:参照できる資料が無ければ、指示文を磨いても一般論のままです
  • 苦情が来ないことを成功と見なす:使用状況レポートを月1回見る運用にしてください
  • 環境を揃える前に研修を組む:当日に動かない人が出て、その後の印象が悪くなります
  • 利用状況を人事評価に使う:公式が意図していない用途です。使うと報告が歪みます

なお、社内文書に答えさせること自体が目的なら、Copilot以外の選択肢と比べる価値もあります。社内GPTの導入事例やAI内製化の進め方もあわせてご覧ください。


活用イメージ|研修の2ケース

ケースA:Copilot Coworkの導入支援と活用研修

配ることと使われることは別です。この事例では、部署ごとに何を任せるかを決めるところから入り、指示文のテンプレートと運用ルールを研修のなかで整備しました。

Copilot Cowork導入支援・活用研修の事例を読む →

ケースB:中小製造業でのCopilot研修

PC操作に慣れていないメンバーが多い現場では、扱う業務を絞るほど使われるようになります。日報や集計表のように毎日触るファイルから入り、広げるのは最初の業務が定着してからです。

Copilot研修・中小製造業A様の事例を読む →


よくある質問

Q.「当たり障りのない答えしか返らない」と言われます。指示文の研修をすべきですか。
A.先に参照できるデータを確認してください。本文の「確認する4つの層」を上から順に見ます。3層目まで揃っていない状態で指示文の研修を組んでも、成果は出ません。順番が逆になっていないかだけ確かめてください。
Q.特定の部署だけボタンが出てきません。
A.更新チャネルを疑ってください。準備状況レポートに「対象の更新チャネルの利用者数」があり、現在のチャネルまたは月次エンタープライズチャネルに入っている人の数が出ます。部署単位で設定が違うことがあり、ここに入っていない人にはライセンスを割り当てられません。
Q.使われているかどうかを確かめる方法はありますか。
A.管理センターの「レポート」→「使用状況」→「Microsoft Copilot」で見られます。Copilot自体の利用実績は「使用状況」タブです。準備状況タブに並ぶTeams会議やOutlookメールの列は、Copilotと相性のよいアプリを使っているかどうかを示すもので、Copilotの利用実績ではありません。準備状況は過去28日で最大72時間の遅れ、使用状況は7・28・90・180日から選べて通常48時間以内に反映されます。
Q.余っているライセンスを誰に配ればよいですか。
A.準備状況レポートの「Copilotの候補として推奨される利用者」が材料になります。ライセンスを持っていない利用者のうち、直前28日のアプリ利用の強さから上位25%が毎週選ばれます。ただしこれは初期導入や試行の候補を選ぶためのもので、業務効果を予測する指標ではありません。役職で配るよりは根拠のある選び方になる、という程度に受け取ってください。
Q.利用状況の数字を、社員の評価に使ってよいですか。
A.公式が「従業員のパフォーマンス評価に使うことを意図していない」と明記しています。評価に使うと、使ったふりをする行動が生まれて数字の意味が消えます。配る候補を決めるための材料として扱ってください。なお利用者名などの識別情報は、使用状況レポート全体で既定では伏せられています。
Q.苦情は来ていないので、うまくいっていると考えてよいですか。
A.使われていない状態は、いちばん声が上がりません。レポートの使用状況を確認してください。配って4週間後に一度見る、と決めておくと、次の更新の判断材料が揃います。弊社では、この切り分けから対象業務の選定、研修までを一緒に進めています。

まとめ|3つに切り分けて、順番に直す

「Copilotが使えない」には3種類あります。ボタンが出てこない環境の問題、当たり障りのない答えしか返らないデータの問題、そして誰も開いていない運用の問題。直す場所が違うので、まず本人にどれなのかを聞いてください。

精度が出ないときは、指示文より先にデータ側を見ます。ライセンス、権限、資料の置き場所の順です。ここが揃っていないうちに指示文だけを磨いても、返ってくるものは変わりません。

使われているかどうかは、管理センターのレポートで測れます。準備状況タブで更新チャネルとライセンスの割当を、使用状況タブでCopilot自体の利用を。この2つは別のものなので、混同せずに見てください。推測で議論する前に、この数字を出すことです。

直す順番は、環境を揃える、参照させる資料を置き直す、業務を1つ決めて教える、4週間後に使用状況を見る。声が上がっていないことを成功と見なさないことが、いちばん大事な一歩です。

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