基幹システムの費用相場|作り方別の目安と5年の比較

基幹システムの費用相場:作り方別の目安、5年の比較と見積書の確認点まで

基幹システムの費用は、作り方と規模で桁が変わります。各社の公開資料の目安では、クラウドERPが月額数万〜数十万円、オンプレミスのパッケージERPはライセンスとインフラだけで数百万〜数千万円、個別開発は社員50名以下で500万〜2,000万円です。いずれも2026年時点の他社の公開情報で、弊社の価格ではありません。この記事では、数字の読み方、5年で比べた試算、見積書で抜けやすい費用を整理します。

この記事の結論
  • 初期費用だけで比べると判断を誤ります。保守費や利用料を含めて5年で比べると、順番が入れ替わることがあります
  • 金額は、今の業務のやり方をどこまで残すかで大きく変わります
  • 公開されている相場は売り手の目安で、調査統計ではありません。自社の金額は、範囲を決めて見積もりを取るまで分かりません

パッケージの見積もりが予算を超えている場合は「パッケージの見積もりが膨らんだら、何を確かめるのか」、見積書を比べたい場合は「見積書で抜けやすい費用は何か」の章から読むと、答えに早くたどり着けます。

執筆について:本記事は、京都市左京区(百万遍)に拠点を置く株式会社ノーコードソリューションズが、基幹・業務システムの開発で要件定義から運用の引き継ぎまで担ってきた実務をもとに執筆しました。金額は他社の公開資料から引用し、出典と時点を添えています。

監修

仙入 功樹せんにゅう こうき

代表取締役

吉村 祐樹よしむら ゆうき

COO

本記事は、AI導入の相談から開発・研修・運用定着までを支援している実務担当が監修しました。監修者の経歴と登壇実績はメンバー紹介に載せています。

導入事例集|PDF・全16ページ

製造業のAI導入事例集

受注書の読み取り、図面からの見積、熟練工の判断の整理など、実際に手がけた事例をまとめています。

事例集を受け取る
目次

基幹システムの費用はいくらかかるのか

基幹システムの費用とは、導入時に払う初期費用と、稼働後に払い続ける利用料や保守費を合わせた金額のことです。ERPは、会社の業務をまとめて管理する製品です。クラウドERPはインターネット経由で利用し、オンプレミスのパッケージERPは自社のサーバーに入れて使います。作り方ごとの目安は次のとおりです。

作り方初期費用の目安稼働後の費用の目安
クラウドERPライセンス 数万〜数百万円
設定中心のカスタマイズ 数十万〜数百万円
月額 数万〜数十万円
オンプレミスのパッケージERPライセンス 数百万〜数千万円
インフラ 数百万〜数千万円
追加開発 数千万〜数億円
年間保守 導入費の10〜20%程度
個別開発(スクラッチ)社員50名以下で500万〜2,000万円など(規模別は下の表)年間保守 開発費の15〜20%

出典:GRANDIT「ERPの費用の目安」(2026年1月)、ITトレンド「ERPの導入費用」(2026年9月)、シースリーインデックス「基幹システムの費用相場」(2026年8月更新)。

個別開発は、同じ記事が会社の規模別に次の目安を挙げています。

会社の規模開発費用の目安
社員50名以下500万〜2,000万円
社員50〜300名2,000万〜8,000万円
社員300名以上・複数拠点8,000万〜3億円以上

上の資料はどれも製品や開発を売る会社の解説で、規模別の金額は著者の経験にもとづく目安です。自社に当てはめるときは、対象業務と利用人数が近い例を参考にしてください。クラウドの料金も公開が進んでおらず、BOXILの2026年の調査では主要19サービスのうち15社が価格非公開で、1ユーザーあたりの月額を算出できたのは2社(約12,000〜18,000円)だけでした。相場は予算の桁をつかむ材料として使い、発注の判断には使わないのが安全です。


5年で比べると、どの作り方が安いのか

初期費用が小さいクラウドも、利用者が多ければ月額が積み上がります。上の数字を使って、社員50名の会社が50人で使う場合を試算しました。

作り方計算5年の合計
クラウドERP(50人)月12,000〜18,000円 × 50人 × 60か月3,600万〜5,400万円
クラウドERP(10人)月12,000〜18,000円 × 10人 × 60か月720万〜1,080万円
個別開発(開発費2,000万円)2,000万円 + 年間保守15〜20% × 5年3,500万〜4,000万円
01,000万円2,000万円3,000万円4,000万円5,000万円6,000万円0年1年2年3年4年5年クラウドERP(10人):5年の合計 720万〜1,080万円クラウドERP(50人):5年の合計 3,600万〜5,400万円個別開発(開発費2,000万円):5年の合計 3,500万〜4,000万円最初に2,000万円3年目に範囲が重なり始めるクラウド50人3,600万〜5,400万円個別開発3,500万〜4,000万円クラウド10人720万〜1,080万円
図1 5年間の費用の累計(弊社の試算)。上の表と同じ前提で、開発費は0年目に払い、保守費と利用料は毎年同じ額として線を引きました。導入費、設定費、インフラ費、追加改修は含みません。

これは弊社の試算で、実際の見積もりではありません。クラウドの単価は料金を算出できた2社の数字で、導入費や設定費は入っていません。個別開発のほうはサーバーなどのインフラ費と追加改修を含みません。この前提では、10人で使うクラウドは個別開発より低い金額に、50人で使うと金額の範囲が重なります。双方に含めていない費用があるので、実際に比べるときは導入費や運用費をそろえた見積もりが必要です。パッケージは製品と追加開発の量で幅が大きいので、この表には入れていません。パッケージを検討している場合は、手元の見積もりの導入費と年間保守を5年分足すと、この表と並べて比べられます。

どこまで替えるかを、社内で話し合う材料が要るときに

替える範囲を社内で話し合うときに使える資料です。「AIネイティブな基幹システムへの刷新」(PDF・17ページ)に、替える範囲と作り方で分けた4つのタイプ、発注前に使える自己診断8項目を載せています。


見積もりの金額は何で変わるのか

同じ「基幹システム」でも見積もりが大きく違うのは、次の条件が会社ごとに違うためです。

1

替える範囲

受注の入口だけを作るのか、受注・在庫・生産を業務ごとに替えるのか、全部を入れ替えるのかで、開発の量が変わります。

2

残す業務のやり方

帳票の形や承認の順番を今のまま再現するほど、手間が増えます。機能の数が同じでも、ここで見積もりが膨らみます。

3

今のシステムの資料とデータ

仕様書があるか、移すデータがどれだけあるか、取引先や品目のマスタ(基本データ)が整っているかで、調査と移行の手間が変わります。

4

つなぐシステム

会計ソフトや取引先のEDI(受発注のデータを電子でやり取りする仕組み)との連携が増えるほど、開発とテストの量が増えます。

見積もりどおりに収まるとも限りません。JUASの「企業IT動向調査報告書2026」(2025年度調査)では、システム開発で予算が予定より超過した割合は、10人月未満で6.0%、50〜100人月未満で19.6%、100〜500人月未満で36.2%、500人月以上で42.2%でした。基幹システムに限らない数字ですが、範囲が広がるほど超過しやすいことが分かります。超過した企業が挙げた理由の上位は、想定以上の現行業務・システムの複雑さ(51.4%)、計画時の考慮不足(51.0%)、仕様変更の多発(48.6%)です。

10人月未満10人月未満:予算の超過 6.0%6.0%10〜50人月未満10〜50人月未満:予算の超過 10.4%10.4%50〜100人月未満50〜100人月未満:予算の超過 19.6%19.6%100〜500人月未満100〜500人月未満:予算の超過 36.2%36.2%500人月以上500人月以上:予算の超過 42.2%42.2%
図2 開発の規模別に見た、予算が予定より超過した割合。出典:JUAS「企業IT動向調査報告書2026」(2025年度調査)図表7-1-4。回答数は225〜685件。システム開発全体の数字で、基幹システムに限りません。

開発費の配分も知っておくと、見積書を読みやすくなります。先ほどのシースリーインデックスの記事は、工程ごとの割合を次のように示しています。要件定義から詳細設計までで35〜50%を占める計算で、見積書を比べるときの目安になります。工程ごとの幅は別々の目安なので、足しても100%にはそろいません。

工程全体に占める割合の目安
要件定義10〜15%
基本設計15〜20%
詳細設計10〜15%
開発・製造30〜40%
結合・総合テスト15〜20%
移行・導入5〜10%

見積書で抜けやすい費用は何か

合計金額が安く見える見積書は、次の項目が別枠になっていることがあります。「一式」と書かれていたら、含まれるかどうかを質問してください。

確認しておきたい項目
  • データの移行:旧システムからの取り出し、マスタの整理、移行後の照合。誰が担当するのかも確認します
  • 教育:操作の練習や手順書の作成。パッケージでは別の費目になっていることがあります
  • 保守:年間の金額に、問い合わせ対応や軽い改修が含まれるのか
  • バージョンアップ:GRANDITの記事は、オンプレミス型で5〜7年ごとに数千万〜数億円かかるとしています
  • カスタマイズの追加:稼働後に要望が出たときの単価と進め方
  • 社内の時間:要件定義やテストに、現場の担当者がどれだけ関わるのか。見積書には載りません
稼働するまで稼働したあと社内の時間データの移行教育保守カスタマイズの追加バージョンアップ社内の時間:要件定義やテストに現場の担当者が関わるデータの移行:取り出し、マスタの整理、移行後の照合教育:操作の練習や手順書の作成保守:1年目保守:2年目保守:3年目保守:4年目保守:5年目カスタマイズの追加:要望が出たときカスタマイズの追加:要望が出たときカスタマイズの追加:要望が出たときバージョンアップ:オンプレミス型で5〜7年ごとオンプレミス型で5〜7年ごと1年2年3年4年5年稼働
図3 見積書で別枠になりやすい費用が、いつ発生するか。社内の時間は見積書に載りません。バージョンアップはオンプレミス型の場合で、GRANDITの記事は数千万〜数億円かかるとしています。クラウドの保守は月額料金に含まれることが多いとされています。棒と点の位置は、実際の時期や金額を表していません。

比べ方を詳しく知りたい場合は、基幹システム開発の外注先を比べる5つの基準と見積書の読み方にまとめています。


パッケージの見積もりが膨らんだら、何を確かめるのか

カスタマイズ費用が想定を超えたときは、すぐに製品を替えず、次の順に確かめます。卸売業でよく論点になる項目を例にしました。

業務の例見積もりの相手に聞くこと
得意先ごとの単価・掛率標準機能の単価マスタで持てるか。追加開発が要るのはどの条件か
荷姿や単位の換算ケース、ボール、バラの換算を標準で扱えるか
取引先のEDI取引先ごとの形式への対応は、1社あたりいくらか。形式が変わったときの費用は誰が持つか
締め請求と入金消込締め日や支払条件の例外を、設定で吸収できるか

回答をもとに、追加開発の項目を「やめる」「業務を合わせる」「残す」に分けます。判断は項目の数ではなく、項目ごとの追加費用と、やめた場合に困る業務で行います。「残す」の追加費用の合計が、製品のライセンス費と導入費を上回るようなら、個別開発の見積もりも取って同じ表で比べます。クラウドやパッケージの料金は、アカウントを持つ人の数で数える製品と、同時に使う人の数で数える製品があるので、どちらかも確認してください。

追加開発の項目やめる業務を合わせる残す「残す」の追加費用の合計「残す」の追加費用の合計製品のライセンス費と導入費製品のライセンス費+導入費上回るなら個別開発の見積もりも取って比べる
図4 パッケージの追加開発の項目の分け方。四角の数と棒の長さは一例です。判断は項目の数ではなく、項目ごとの追加費用と、やめた場合に困る業務で行います。

費用を抑えるには、どこから手を付けるのか

費用を下げる順番は、会社の状況で変わります。次の3つが候補です。

  • 替える範囲を絞る:困っている業務が受注の入力なら、今の基幹システムを残して入口だけを作る方法があります。
  • 標準機能に業務を合わせる:再現しなくても困らない帳票や承認の手順を洗い出します。パッケージの追加費用が膨らんでいるときは、最初に見直す箇所です。
  • 段階に分ける:業務ごとに切り替えれば、1回の投資額を小さくでき、途中で見直せます。切り替えの途中は新旧をつなぐ処理が要るので、合計が必ず安くなるわけではありません。

補助金を検討する場合は、年度で要件が変わるので、最新の公募要領を公式サイトで確認してください。


見積もりを頼む前に、何をそろえればよいのか

同じ資料を各社に渡すと、見積もりを同じ前提で比べられます。完璧でなくてかまわないので、次の5点を書き出しておくと話が早く進みます。

そろえるもの金額にどう関わるか
業務の流れ(受注から入金まで)替える範囲を決める土台になります
使う人の数と拠点の数クラウドの月額と、権限の設計に関わります
今使っている帳票の一覧残す帳票が多いほど、開発の量が増えます
つないでいるシステムと取引先のEDI連携の数がそのまま開発とテストの量になります
移すデータの量と、切り替えたい時期移行の手間と、一度に動かせる人数に関わります

保守の期限が決まっている場合は、その日付も伝えてください。個別開発は半年以上かかることが多いので、期限から逆算すると、取れる方法が絞られます。期限から日程を逆算する手順と移行方式の選び方は、基幹システムの再構築の進め方で説明しています。


弊社に頼むと、費用と期間はどうなるのか

費用は、上の4つの条件を伺ってから個別にお見積もりします。期間は、要件定義の1〜2か月を含めて全体で半年から1年です。要件定義のあとは、基本的に弊社がフルスクラッチで開発します。お客様に時間をいただくのは、主に要件定義と、受入テストから移行までの期間です。要件定義のあとで開発を止めることもできますが、弊社としては続けて進めることをおすすめしており、要件定義までの費用は発生します。詳しくは基幹システム開発のサービスページをご覧ください。

食品製造業:部門ごとのExcelと個別のシステムを統合

受注・生産計画・在庫・品質・設備保全を一画面で管理し、ロット番号から原材料、製造日、担当ラインまでたどれるようにしました。

生産管理システムの事例を見る

食品製造業:受注データの変換ソフトを作り直し

今の基幹システムは残し、作成者の退職で直せなくなった変換ソフトだけを作り直した、範囲を絞った例です。

変換ソフトの事例を見る

完成形のイメージは、登録なしで触れる基幹システムの体験デモで確かめられます。

他社の見積書をお持ちであれば、一緒に見ながらお話しします

30分の無料相談の中で、見積書を見ながら気になる点をお伝えします。金額の妥当性の判定や書面でのご報告は行っていません。今のパッケージを続けるほうが合う場合は、そうお伝えすることもあります。見積書が社外秘の場合は、秘密保持契約を先に結ぶこともできます。


よくある質問

Q.社員50名の会社なら、基幹システムの費用はいくらですか。
A.個別開発の開発費は、公開されている目安で500万〜2,000万円です。クラウドERPは人数と製品で変わり、料金を算出できた製品の単価で50人分の利用料を計算すると、5年で3,600万〜5,400万円になります。一方は開発費、もう一方は利用料なので、そのままでは比べられません。範囲を決めて見積もりを取るまで、実際の金額は分かりません。
Q.相場の幅が広いのはなぜですか。
A.替える範囲、残す業務のやり方、データの状態、つなぐシステムが会社ごとに違うためです。公開されている金額の多くは売り手の経験にもとづく目安なので、資料によっても差があります。
Q.保守費は年間でいくらかかりますか。
A.オンプレミスのパッケージは導入費の10〜20%程度、個別開発は開発費の15〜20%という目安が公開されています。クラウドは月額料金に含まれることが多いとされています。含まれる作業の範囲は契約ごとに確認してください。
Q.パッケージの見積もりが高いときは、個別開発のほうが安くなりますか。
A.必ず安くなるわけではありません。業務が業界の標準に近いなら、パッケージのほうが合います。独自の工程が多く、カスタマイズ費用が本体を上回っている場合に比べる価値があります。
Q.ノーコードソリューションズの費用はいくらですか。
A.個別にお見積もりします。この記事の金額は他社の公開情報で、弊社の価格ではありません。

まとめ|基幹システムの費用は5年の合計で比べる

公開されている目安は、クラウドERPが月額数万〜数十万円、オンプレミスのパッケージERPが初期で数百万円以上、個別開発が社員50名以下で500万〜2,000万円です。見積もりを依頼する前に、替える業務の範囲と利用人数を整理し、各社に同じ条件を渡してください。

比べるときは、導入費・利用料・保守費を含めた5年の合計と、見積書に含まれる範囲を確かめます。どこから替えるか決まっていない段階でも、基幹システム開発の相談をお受けしています。

登壇・セミナー実績

神戸商工会議所でAI活用セミナーに登壇する様子
神戸商工会議所 AI活用セミナー
開催レポートを読む →
石川県庁主催のAI活用セミナーの様子(満席の会場)
石川県庁主催 AI活用セミナー
開催レポートを読む →

神戸商工会議所・石川県庁など、各地の商工会議所や自治体でAI活用セミナーに登壇しています。現場で得た知見をもとに、上場企業を含むさまざまな規模の会社のAI導入を支援しています。

ご相談と資料

読んだ内容を、
自社の業務に当てはめたい方へ

どの業務から手を付けるか、何を作るかが決まっていなくても構いません。30分の無料相談で、今の状況から伺います。

ご相談はオンラインでも、京都・百万遍のオフィスでもお受けします。秘密保持契約を先に結ぶこともできます。

1 / 4

AIプロジェクトの進め方と導入フロー|PDF・全16ページどのフェーズで何を決めるか、どこでつまずくかを6フェーズの地図にしました。別冊の100項目チェックリスト付きです。フォームを送ると、その場で読めます。

ほかの資料も見る 動く業務システムのデモを見る

ぜひ共有お願いします!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次