Claude Codeを「会社の相棒」にする|AI DEEP LIVE #05 に代表・仙入が登壇しました

2026年8月25日、株式会社しくみスタジオが主催するオンラインイベント「AI DEEP LIVE #05」に、弊社代表取締役社長の仙入功樹が登壇しました。テーマは「Claude Codeを『会社の相棒』にする」。個人の便利ツールで終わらせず、会社の業務とルールを理解して動く存在にするための設計を、90分にわたってお話ししました。当日の様子をご報告します。
当日お話しした主な内容
個人の道具から組織の基盤へ、という流れで6つの節を積み上げました。
- 個人利用と組織利用の違い:何を全員に配り、何を個人の自由に残すか。
- 社内の事情を理解させる設計:常設の指示書、過去の判断の残し方、手順書の切り出し方。
- 運用基盤の全体像:ルール・記憶・分業・フックの4部品と、人が承認する外周。
- 実際の設定と運用フロー:弊社が毎日回しているループ。フックの設定はその場で実演。
- セキュリティと権限設計:禁止リストの限界と、渡していない権限は使えないという考え方。
- 小さく始めて組織へ展開:初日から1か月目までの段階導入。
当日の要点
90分を通して繰り返しお伝えしたのは、次の3点です。
アカウントを配っただけでは、成果が組織に残りません。成果を生んでいるのは「その人の設定」なので、本人が異動すれば再現できなくなります。説明した内容も、ウィンドウを閉じた時点で失われます。やることは突き詰めると1つで、人の頭の中にあったものをファイルと仕組みの側へ移していく作業になります。
そのための常設の指示書が CLAUDE.md ですが、書いた内容は「お願い」であって「強制」ではありません。Anthropicの公式ドキュメントも、これらは文脈として扱われるのであって設定として強制されるわけではないと明言し、確実に止める必要がある操作はフックで制御してください、とまで書いています。当日いちばん強く申し上げたのが、この一点でした。
禁止事項を並べて守り切る方式には限界があります。根拠として、2026年7月に公表された調査をお見せしました。2023年からの研究39本を集計したもので、実運用の拒否リストのうち回避できた割合は69〜98%。そこで、権限はゼロを初期値にして、その業務に必要なものだけを明示的に渡す設計へ変えます。
※この調査は単著のプレプリントで査読を経ていません。69〜98%という幅は集計元の評価ごとの違いによるものです。桁を掴む材料としてご紹介しました。個別の環境にそのまま当てはめられる数字ではない点にご注意ください。
なお、権限まわりには公式ドキュメントを読まないと気づけない挙動がいくつかあります。書いたつもりで塞げていない設定が残りやすいところなので、別途テックブログに5つまとめました。実際に設定を書く段になったらお読みください。
ライブ実演:危険な操作を、その場で止めてみせる
後半は画面を共有しながら、実行の直前に必ず走る仕組み(フック)をその場で作りました。コードは1行も書きません。Claude Code に日本語で3回頼むだけです。「作って」で止めたい言葉のリストを持つスクリプトを書かせ、「登録して」で実行の直前に必ず呼ばれるようにし、「試す」で動作を確かめる。試すときは本物の危険なコマンドを打たず、無害な合言葉をわざとリストに入れておきます。
頼んだ瞬間、実行される前にブロックのメッセージが出ます。Claude 自身も「フックに止められたため、実行していません」と報告して止まる。この一連をそのままご覧いただきました。
たった今、あなたが何もしなくても勝手に止まる仕組みが1つ増えました。これがフックです。
当日のライブ実演よりあわせて、つまずきやすい箇所と、運用して見えた課題も正直にお話ししました。ブロックするときの終了コードは 2 でなければ止まらないこと(Hooksのドキュメントにも警告があります)。フックは最後の砦であって判断の代わりではなく、指定していない経路は素通りすること。取り消せない操作は、そもそも実行できない作りにするほうが強い対策になること。
登壇を終えて
今回は、関心の段階が幅広い場でした。Claude Codeを個人で使いこなしている方もいれば、社内展開を任されたばかりの情シス・DX推進の方もいます。だからこそ、主題はツールの操作方法ではなく「まわりの設計」に置きました。いただいた感想のなかには、内容が難しかったという声もありました。90分で全体像まで駆け抜けたぶん、用語の説明を省いた箇所があったと反省しています。
貴重な機会をくださった株式会社しくみスタジオの皆さま、ご参加いただいた皆さまに、あらためて御礼申し上げます。弊社は京都大学でAI・システム科学を専攻したメンバーを中心とするAI開発の専門チームで、セミナー・講演のほか企業ごとの活用支援や研修も行っています。
DOCUMENT
AI活用のお役立ち資料をご用意しています
社内でのAIエージェント運用、研修の選び方、セキュリティ設計などの資料を公開しています。社内での共有・検討にそのままお使いいただけます。なお、当日のセミナー資料そのものの配布は行っておりません。
お役立ち資料の一覧を見る
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 出典:公開書簡と署名一覧(OpenAI社・公式) / ITmedia AI+(8/28) 弊社からのお知らせ ウェビナーに登壇しました。テーマは「AIに何をどこまで任せるか」 2本目で名前が挙がった過剰な権限は、AIを社内に入れるときにも確かめたい項目です。8月25日、しくみスタジオ社が主催するオンラインイベント「AI DEEP LIVE #05」に、代表・仙入が登壇しました。話したのは、AIを一人ひとりに配ったあとで社内に何を用意するか、業務のどこまでをAIに任せ、どの段階から人が確認するかという設計です。当日の内容を登壇レポートにまとめました。 当日の要点を登壇レポートで読む 誰にどこまで任せるかを社内で決めるときは、社内でのAIエージェントの運用方法という資料をたたき台にお使いください。同じ会社の6人が同じAIをどう使い分けているかを、1枚の表にまとめた資料です。任せている業務、覚えさせている情報の量、定期実行の有無、安全の担保のしかたを横に並べて見比べられます。ふだん研修や導入支援でお伝えしている中身を、そのまま資料にしました。無料でお読みいただけます。 6人の使い分けをまとめた資料を受け取る AI導入のご相談は、京都のAI導入支援のページからどうぞ。 TOP STORY 03 / 国内 Sakana AI社が防衛省情報本部のAI機能を調査・実証。3月の防衛装備庁からの委託研究に続く発表 […]