【ノーコードソリューションズ|AI Weekly vol.15】先週の重要AIニュース3本(荷下ろしの3人が0人に、年5,856時間 ほか2本)

AI WEEKLY by NOCODE SOLUTIONS
Vol.15 先週の重要AIニュース3本
発行日:2026/09/19 / 配信日:2026/09/21
株式会社ノーコードソリューションズ 代表取締役 仙入功樹

こんにちは。ノーコードソリューションズの仙入です。最近では、AIが画面の外へ出てくる話が続いています。9月16日に東京で、国のプロジェクトで作られた汎用ロボットの試作機が7社ぶん公開されています。中国では9月10日に、9つの部門が連名で自動車産業の5カ年計画を出し、AIエージェントを自動車産業へ率先して入れると書きました。愛知県春日井市の自動車部品メーカーでは、荷下ろしと入庫を自動化して、その工程の作業人員が3人から0人になったという発表がありました。3本は用途も段階もばらばらです。学習用のデータ、業界で共有するデータ、1つの工程の作業量。同じ話としては読めません。そのうえで、大企業以外の会社がいま手を動かせることを1つだけ選んで、3本目に置きました。

今号のラインナップ
01国産汎用ロボットの試作機を7社が一斉公開。作っているのは基盤モデル用のデータを集める機体
02中国の9部門がNEV産業の第15次5カ年計画。AIエージェントを自動車産業へ率先して入れると明記
03自動車部品の松田電機工業所社、荷下ろしと入庫の作業人員が3人から0人へ。年5,856時間の削減
TOP STORY 01 / 国内・先週の発表(9月16日)
国産汎用ロボットの試作機を7社が一斉公開。作っているのは基盤モデル用のデータを集める機体

9月16日、パレスホテル東京で「フィジカルAI Summit」が初めて開かれ、国産の汎用ロボットの試作機が7社ぶん公開されました。主催はRX Japan社で、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)が後援しています。出展したのは、ugo社、THK社、不二越社、Keigan社、HatsuMuv社、Enactic社、EmplifAI社です。AIRoAが実施する「国産汎用ロボット開発コンペティション」の試作機で、NEDOの委託事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一部にあたります。2026年4月2日の採択時は8社で、今回はTelexistence社を除く7社が出展しました。各社が作っているのは双腕のモバイルマニピュレーター、つまり腕が2本ある移動式のロボットです。用途は採択の時点から決まっていて、ロボット基盤モデルの開発に使うデータを集めることです。AIRoAが4月に示した予定では、2027年3月まで改良を続け、2027年7月以降に量産機の納入が始まります。納入された機体も、まずはデータを集めるために使われます。同じ日にugo社が国産のセミヒューマノイド「ugo Nova」を発表しました。全身22自由度、双腕での可搬重量は最大10kg、量産開始は2027年の予定です。

この取り組みは、ロボットを工場へ売るところから始まっていません。先に作るのは、データを集めるための機体です。人が遠隔操作したロボットの動きと、そのときの映像を対応づけて集め、基盤モデルの学習に使います。サミットでも、箱を持ち上げて置く、扉を開ける、ケーブルのような柔らかいものを扱うといった作業の遠隔操作が実演されました。いま決まりつつあるのは、どの現場のどの作業が記録の対象になるかです。ただし、自社に近い作業のデータが集まることと、その作業を任せられるロボットが買えることは別です。

それでも1本目に置いたのは、この動きが自社の作業の見方に関わるからです。弊社が「どの作業からロボットに任せられますか」と相談されたときも、候補の工程を挙げていただき、それぞれ1日に何回行っているかを先に伺います。仕様表を開くのはそのあとです。回数が分からないままでは、自動化の効果を見積もる材料がありません。ただし、回数が多い作業ほど自動化しやすいとは限りません。箱の形や置き方が毎回変わる作業は、繰り返しが多くても技術の選定は難しくなります。作業量は投資の順番を決めるため、ばらつきは技術を選ぶため、と分けて見ます。手順書の更新が追いついていない工程なら、動画で今の作業を残しておくと引き継ぎで使えます。これは工程を説明する資料で、ロボットの学習データとは別のものです。

株式会社ノーコードソリューションズ 代表取締役 仙入功樹
まずやること|代表・仙入から
人の入れ替わりがいちばん多い工程を1つ選んで、いつもの作業をスマートフォンで1回撮り、担当者と一緒に見てみましょう! 2027年に出てくる機体を今から調べるより、いま人がやっているやり方を先に残すほうが役に立つと思っているので、見ながら「今日は映らなかった作業」まで書き出しましょう!
TOP STORY 02 / 海外・政治×AI(9月10日発布)
中国の9部門がNEV産業の第15次5カ年計画。AIエージェントを自動車産業へ率先して入れると明記

中国の工業和信息化部など9つの部門9月10日、「智能網聯新能源汽車産業発展『十五五』規画」を連名で出しました。対象は2026年から2030年です。2030年の目標に挙がっているのは、国内市場で新エネルギー車が新車販売に占める比率を乗用車70%・商用車40%まで引き上げること、高速道路や一部の都市道路で高度な自動運転を実現すること、そして業界の全員労働生産性を2025年比で15%高めることです。AIについては「人工知能+自動車」という専欄が立ち、中身は3つに分かれています。人工知能モデルと智能体(AIエージェント)の技術革新を進めて率先して自動車産業で実用化すること、エネルギー管理や運動制御、故障の予知といった車に載せる用途、そして生産製造・自動運転・デジタルサプライチェーン・安全リスク評価に使う「信頼できるデータ空間」を業界で共同建設することです。3つ目では、整えたデータセットで業界向けの大規模モデルと産業用のAIエージェントを後押しし、典型的な応用シーンを50件程度普及させるとしています。いずれも計画が掲げた目標の値で、50件も効果を検証し終えた事例の数ではありません。

1本目と並べて読めるのは、どちらの計画にもデータの整備が組み込まれている点です。ただし、AIより先にデータを揃えると書いてあるわけではありません。中国の専欄はAIの基礎能力と車載応用とデータ流通を並べて掲げ、日本のプロジェクトは集めるデータを作るところから始まっています。用途は違いますが、どちらもデータの整備を後回しにしていません。

日本の自動車部品メーカーに近いのは、3つ目の「信頼できるデータ空間」です。対象に生産製造とデジタルサプライチェーンが名指しされています。中国市場へ製品を出している会社や、完成車メーカーと取引のある会社は、取引先からどのデータの提出を求められるのかを営業と品質保証に確認させておくと、聞かれてから慌てずに済みます。なお、専欄が挙げた故障の予知は車に載せる用途で、工場の設備を予知保全する話ではありません。ただ、自社の設備が止まった記録を残しておく意味は別にあります。設備がいつ止まり、何が原因で、どう直したか。この4つが1行で残っていれば、保全の担当が替わっても過去の処置を追えます。弊社へのご相談でも、その記録が紙のバインダーにある、担当者の記憶にある、Excelが部署ごとに分かれている、という話はよく出ます。

株式会社ノーコードソリューションズ 代表取締役 仙入功樹
まずやること|代表・仙入から
直近の故障や不具合の記録を1件だけ開いて、日付・設備名・症状・やった処置の4つが揃っているか確かめてみましょう! 予知保全を検討する前に、担当者が替わっても追える履歴を先に作るべきだと見ているので、抜けている項目は次の1件から書き足しましょう!
弊社からのお知らせ
日本の工場で実際に動いたAIを、8件ぶん1冊にまとめました
ここまでの2本は、ロボットの学習に使うデータと、業界で共有するデータの話でした。国の計画より手前の、いま日本の工場で動いているAIのほうが知りたい、という方もいると思います。弊社が手がけた製造業の案件を、システム開発4件・AIコンサル1件・法人研修3件の8件にまとめた資料を公開しています。受注書のOCRを専用に調整して平均信頼度約99%(弊社実証・5社平均)まで持っていった手順、部門ごとに乱立していたExcelの生産管理を作り直してロット追跡と工程ガントを一画面に集めた構成、熟練者の「なんとなく分かる」をヒアリング音声と現場写真から判断の分岐に組み立てた進め方が入っています。図面や顧客データを社外に出せない会社がどこで線を引いたかも、金属熱処理・半導体・機械製造の3案件で実際に出た制約として載せました。PDFで全16ページ、無料でお読みいただけます。ふだん導入のご相談でお伝えしている中身を、そのまま資料にしたものです。
製造業のAI導入事例集 表紙|株式会社ノーコードソリューションズ 製造業のAI導入事例集を受け取る
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TOP STORY 03 / 国内の実践例(9月3日発表)
自動車部品の松田電機工業所社、荷下ろしと入庫の作業人員が3人から0人へ。年5,856時間の削減

Mujin社が9月3日、株式会社松田電機工業所で混載通い箱の荷下ろしと入庫を自動化したと発表しました。松田電機工業所社は愛知県春日井市の自動車部品メーカーで、自動車用スイッチを中心に手がけ、従業員は390名(2025年8月現在)です。入れたのは、MujinOSを搭載した通い箱デパレタイズロボット2台です。デパレタイズは、パレットに積まれた荷物を取り出す作業を指します。1台は入荷した混載パレットから箱を下ろす工程、もう1台は完成品を自動倉庫へ入れる工程に置かれました。この2つの工程で働いていた人数は3人から0人になっています。1日に下ろす箱は5,000箱、それまで人が手で持ち上げていた重量は1日あたり約25tでした。年間の削減工数は5,856時間です。混載通い箱とは、大きさも形も積み方も違う箱が同じパレットに載っている状態を指します。3Dビジョンがパレットをスキャンし、MujinOSが箱の位置と形、つかむ場所を認識して、経路をその場で計算します。Mujin社は、こうした通い箱をロボットで自動荷下ろしする事例は「中小製造業において初」だとしています(同社調べ)。

3人から0人という数字だけでは、投資の判断はできません。発表に金額は出ていないので、設備の費用も据え付けも年間の保守も分かりません。省いた工数がそのまま支出の削減になるとも限りません。自社で試算するなら、ロボットが止まったときに誰が復旧するのか、空パレットの回収や荷崩れの処理が人の手に残るのかまで見ることになります。それでもこの事例を今号に入れたのは、公表されている数字の粒度が具体的だからです。1日5,000箱、約25t、年5,856時間。自社の似た工程について、この3つを出せるかどうかは社内だけで確かめられます。なお、この事例は3Dの認識と動作の計画による自動化で、1本目の基盤モデルの開発とは技術の位置づけが違います。

対象工程の3人がその後どこで働いているかは、発表に書かれていません。工程の作業人員がゼロになったという話で、会社全体の雇用が減ったかどうかまでは読み取れません。浮いた人手をどこへ置くかは、それぞれの会社が決めることになります。毎日その箱を下ろしている人が気にするのは、体の負担がどれだけ減るのかと、そのあと何を担当するのかです。作業量を数える段階から本人に話しておくほうが、導入が決まってから説明するより先に進みます。重い箱を繰り返し持ち上げる工程では、総重量だけでなく、持ち上げる高さや運ぶ距離も記録しておくと、導入の前後で比べられます。

株式会社ノーコードソリューションズ 代表取締役 仙入功樹
まずやること|代表・仙入から
いちばん体に負担がかかっている工程を1つ選んで、1日に何回その作業をして、合計何kgを持ち上げているかを数えてみましょう! 機体もソフトも外から買えるなかで、ロボットを選ぶ前に自社でやるべきことはこれだけだと考えているので、数えた紙はその工程の担当者と一緒に見ましょう!
今号のまとめ
株式会社ノーコードソリューションズ 代表取締役 仙入功樹(登壇時)

前号では、会社が用意していないAIがどこで使われていそうかを伺いました。今号の3本は、無理に1つの教訓へまとめません。1本目はロボットの学習用データを集める国のプロジェクト、2本目は業界でデータを共有する中国の産業計画、3本目は3Dの認識で1工程を自動化した導入事例で、段階も技術も違うからです。そのうえで今週ひとつ選ぶなら、3本目の「1工程の回数と重さを数える」を勧めます。1本目の動画は引き継ぎの資料、2本目の故障の記録は保全の履歴で、どちらも別の目的があります。回数と重さだけは、どの会社でも今週すぐ出せて、外部の誰にも代われません。弊社が製造業のご相談で足を止められてきたのも、たいていこの数字が出てこないときでした。AIの選定に時間をかける前に、自社の工程を数字で言えるようにしておくべきだと考えています。数え始めてみて、どこまで細かく取ればよいか迷われたら、弊社と一緒に見ましょう。

今号で伺いたいのは、御社でいちばん人手と体力を使っている工程はどこか、です。運搬、検査、梱包、棚卸し。ご自身の担当範囲のことで構いません。ひとつだけ、このメールにそのまま返信でお送りください。次号の内容に反映します。

CONTACT / ご相談とサービス資料
どの工程から手を付けるかを
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数え始めると、どこまで細かく取るか、どの工程から見るかで手が止まります。
初回30分の無料相談では、いまの工程を伺ったうえで、
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