Microsoft 365 Copilotを安全に全社展開する|情シスのための過剰共有対策 実践ガイド

はじめに:Copilotは既存の権限をそのまま反映する
「Copilotを全社に入れたいが、SharePointの権限がぐちゃぐちゃで、何が漏れるのか分からない」
「アクセスできないはずの人事評価の資料を、ある社員がCopilotに聞いたら、要約が返ってきてしまった」
「導入してから情報漏洩が起きたら、誰が責任を取るのか。だから踏み切れない」
情シス・セキュリティ担当がいま向き合っているのは、こうした「Copilotを入れる前の不安」です。Microsoft 365 Copilot の回答は、「その社員が技術的にアクセスできるデータ」から作られます。つまり Copilot は、新しく情報を漏らす道具ではなく、すでに存在している権限の緩さを、そのまま表に出すツールです。これまでフォルダの奥で誰も開かなかったファイルも、「先月の役員報酬の一覧を教えて」といった自然な言葉ですぐに引き出せてしまうため、今まで表面化していなかった過剰共有が、一気に顕在化します。
これは一部の企業だけの問題ではありません。セキュリティベンダー各社の調査でも、組織の重要データのうち平均16%が過剰共有の状態にあると報告され(Concentric AI, Data Risk Report)、Copilot導入済みテナントを監査した別のベンダー調査では、約8割のテナントで人事・給与・取締役会資料・顧客の個人情報などが露出しうる過剰共有が見つかったとされています(EPC Group, Microsoft Copilot Oversharing Audit)。これらはベンダーによる調査ですが、Microsoft 自身も導入ガイドで過剰共有への事前対策を繰り返し促しており、導入前の備えは多くの組織に共通する前提だと考えたほうが安全です。
対策の順番はシンプルです。Copilot を安全に全社展開するには、導入の「前」に ①過剰共有の棚卸し → ②危険なサイトの封じ込め → ③中身そのものの保護 の順で進めます。本記事では、Microsoft 公式の導入ブループリント(Secure & Governed Data Foundation for Microsoft 365 Copilot)を基に、情シスが実際に手を動かす手順を管理画面の操作とともに解説します。
この記事を読むことで得られること:
- なぜ Copilot で「過剰共有」が表面化するのか、その仕組み
- 危険なサイトを洗い出す棚卸しの手順(データ アクセス ガバナンス レポート)
- アクセスを残したまま Copilot 検索から外す方法(制限付きコンテンツ検出)と、アクセス自体を締め直す方法(制限付きアクセス制御)
- Microsoft Purview による「中身」の保護(秘密度ラベル・DLP・監査)
- 導入前に確認すべきチェックリスト
基礎知識:なぜ Copilot で過剰共有が表面化するのか
Copilotは「新しい権限」を作らない
大前提として、Microsoft 365 Copilot は、Microsoft Graph(Microsoft 365 全体のデータに、統一された窓口でアクセスするための仕組み)を通じてデータを取得する際、既存の権限・共有設定・ポリシーをそのまま尊重します。アクセスできないファイルを Copilot が勝手に見せることはありません。
問題は、「技術的にはアクセスできるが、これまで誰も開かなかった」ファイルが大量にあることです。Copilot は、その社員がアクセス権を持つ範囲を横断的に検索・要約するため、手作業では事実上「見えなかった」情報が「見つけられる」状態に変わります。
| 観点 | 人が手作業で探していた時代 | Copilot がある時代 |
|---|---|---|
| 情報の見つけやすさ | フォルダ構造を知らないと到達できない | 自然な言葉で横断的に検索・要約 |
| 緩い権限の影響 | 表面化しにくい(誰も開かない) | そのまま顕在化する |
| 必要な対策 | フォルダ整理が中心 | アクセス権の棚卸しと統制 |
こうして、これまで見えなかった情報が一気に見つかるようになると、もともと緩かった権限設計がそのまま表面化します。これが過剰共有の顕在化です。Copilot が悪いのではなく、もともとの権限設計の緩さが原因だと理解すると、どこから対策すべきかが見えてきます。
過剰共有はどこで生まれるのか(リスクの発生源)
公式ドキュメントは、過剰共有につながる「リスクのシグナル」を挙げています。自社に当てはまるものがないか確認してください。
| リスクシグナル | 何が問題か |
|---|---|
| 「組織全体」共有(EEEU:社外ユーザーを除く全員) | 社内の誰もがアクセスできる状態。機密も含まれがち |
| 「リンクを知っているユーザー(Anyone)」リンク | リンク流出で社外にも届く |
| 権限継承の断絶 | サイト全体の権限とは別に、個別に広い権限が付与されている |
| オーナー不在・非アクティブなサイト | 誰も管理しておらず、放置されている |
| 秘密度ラベルが付いていない、公開サイト | 機密かどうかの判別も保護もされていない |
これらは単独よりも複数重なったときに危険度が増します。たとえば「『組織全体』共有(EEEU)なのに秘密度ラベルが付いていない」「オーナー不在のまま『リンクを知っているユーザー』リンクが残っている」のように、表の条件が2つ以上重なるサイトが、優先的に手を打つべき対象です。
対策の全体像:Microsoft 公式の「3本柱」
Microsoft の導入ブループリントは、安全な基盤づくりを3本柱で整理しています。本記事もこの順序に沿って進めます。
| 柱 | 内容 | 本記事での対応 |
|---|---|---|
| ① 過剰共有の是正 | 危険なサイトを洗い出し、アクセスを締める | 第2章(棚卸し・封じ込め) |
| ② ガードレールの設定 | 緩い既定設定を是正し、継続的に強制する | 第2章・第3章 |
| ③ 規制対応 | 監査・保持・コンプライアンス要件を満たす | 第3章 |
そして、これを実現する道具は大きく2つです。役割分担を押さえておくと、どの機能をどこで使うかが整理できます。
| 道具 | 役割 | 主な守備範囲 |
|---|---|---|
| SharePoint 高度な管理(SharePoint Advanced Management、SAM) | 共有・アクセス・ガバナンスの管理 | データの「場所と共有範囲」を締める |
| Microsoft Purview | データ保護・損失防止・コンプライアンス | データの「中身」と「利用」を守る |
なお SharePoint 高度な管理は Microsoft 365 Copilot ライセンスに含まれているため、Copilot を導入する組織であれば追加購入なしで使えるのが基本です(詳細なライセンス要件は契約内容により異なるため、導入前に確認してください)。
実装のステップ:過剰共有の棚卸しと封じ込め
ここからは、情シスが管理画面で手を動かす手順です。「まず現状を可視化し(棚卸し)、危険なものから順に閉じていく(封じ込め)」という流れで進めます。
棚卸し:まずは「コンテンツ管理の評価」で全体を診断する
最初の一歩は、SharePoint 高度な管理の コンテンツ管理の評価(Content Management Assessment) です。過剰共有の可能性があるサイトや、オーナー不在・非アクティブなサイトを自動で洗い出し、是正の推奨まで提示してくれます。専門知識が浅い担当者でも進められるよう、ガイド付きの流れになっています。
操作手順は次のとおりです。
- SharePoint 管理センターの左メニューで 「高度な管理」 を選ぶ
- 「評価の開始」 を選ぶ
- 評価が完了したら結果を確認し、推奨されたアクションを実施する
- 30日ごとに手動で再実行(推奨サイクル)して、進捗と新たな問題を追跡する

棚卸し:「データ アクセス ガバナンス レポート」で危険なサイトを特定する
より具体的に「どのサイトが過剰共有になっているか」を突き止めるのが データ アクセス ガバナンス レポート(Data Access Governance、DAG)です。過剰共有や機密コンテンツを含む可能性のあるサイトを一覧で示してくれる、棚卸しの主力ツールです。
操作手順は次のとおりです。
- SharePoint 管理センターで 「レポート」 を開く
- 「データ アクセス ガバナンス」 を選ぶ
- 目的のカテゴリ(=見たいレポートの種類。下の表のように複数に分かれています)で 「レポートの表示」 を選ぶ
まず確認したいレポートは「スナップショット レポート」と「アクティビティ レポート」に分かれており、代表的なものは次のとおりです。
| 区分 | レポート | 何が分かるか |
|---|---|---|
| スナップショット | 組織全体のサイトのアクセス許可(EEEU) | 外部ユーザーを除く全員・ゲスト・共有リンクなど、広範なアクセス許可を持つサイトを確認 |
| スナップショット | ユーザーに対するサイトへのアクセス許可 | 特定のユーザーがアクセスできる全サイトを特定 |
| スナップショット | ファイルに適用された秘密度ラベル | 機密ファイルが保存されているサイトを確認 |
| アクティビティ | 共有リンク | 過去28日間に共有リンクが多く作られたサイトを監視し、共有過多を特定 |
| アクティビティ | 外部ユーザーを除く全員と共有済み | 過去28日間に「外部ユーザーを除く全員」と最も多く共有されたサイトを特定 |
このうち、外部ユーザーを除く全員(EEEU)に共有されている=「社内の誰もが見られる状態」のサイトは、機密が含まれていないか優先的に確認すべき対象です。件数が多くて読み切れない場合は、AI insights(AIによる分析情報) 機能が役立ちます。レポートのパターンや問題点を言語モデルが解釈し、推奨アクションを提示してくれます。
なお「過剰共有対策の記事なのにAIに渡して大丈夫か」と気になるかもしれませんが、AI insights が言語モデルに渡すのはレポートの分析データ(権限・ラベルの統計やパターン)であり、ファイルの中身ではありません。SharePoint 管理センター内で動く純正機能で、社外の外部AIに送るものでもありません。ただしサイト名や権限構成といった組織のメタデータは扱われるため、取り扱い方針が厳しい場合は公式情報で確認してください。
棚卸しの優先順位は、リスクシグナルの「重なり」で判断します。「EEEUに出てきた」かつ「ラベル無し」かつ「オーナー不在」のように複数条件に当てはまるサイトから着手すると、限られた工数で漏洩リスクの高い箇所を効率よく減らせます。まずは上位10〜20サイトに絞り、後述の封じ込め(制限付きコンテンツ検出・制限付きアクセス制御)を適用していくのが現実的です。

封じ込め①:危険なサイトを Copilot の検索対象から外す(制限付きコンテンツ検出)
高リスクと判明したサイトのうち、「アクセス権はすぐに変えられないが、Copilot には出したくない」ものには、制限付きコンテンツ検出(Restricted Content Discovery、RCD) が有効です。
RCD は、サイトの権限は一切変えずに、テナント全体の検索インデックス(Copilot や組織全体検索を含む)から外す機能です。ここで注意したいのは、RCD はあくまで「検索で見つからなくする」ものであり、サイトのURLを直接開けば中身は見えるという点です。つまり封じ込め=検索からの除外であって、アクセスそのものの遮断ではありません。それでもアクセスを維持したまま露出を大きく下げられるため、業務への影響を抑えつつ初期対応としてすぐに打てます。なお RCD は2026年に提供が始まった比較的新しい機能で、テナントによって表示や挙動が異なる場合があるため、利用可否は自社環境で確認してください。
どのサイトを対象にするかは、2.2 のレポートや AI insights が示すリスクシグナル(「リンクを知っているユーザー」/EEEU リンク、権限継承の断絶、オーナー不在、ラベル無し等)を手がかりに、シグナルが重なるサイトから優先的に指定します。
操作手順は次のとおりです。
- SharePoint 管理センターで 「サイト」→「アクティブなサイト」 を開く
- 対象サイトを選び、表示されたパネルで 「設定」 タブを開く
- 「コンテンツをMicrosoft 365 Copilotから制限する」 セクションをオンにして保存する(※トグル名はUI更新で変わる場合があるため、画面の表記に従ってください)

封じ込め②:アクセスそのものを締め直す(制限付きアクセス制御)
「そもそも限られた人しかアクセスすべきでない」サイトには、制限付きアクセス制御(Restricted Access Control、RAC) でアクセス自体を締めます。RAC は、Microsoft Entra のセキュリティグループ、または Microsoft 365 グループのメンバーだけにサイトアクセスを限定する仕組みです。
ポイントは、通常のアクセスが「直接付与された権限」「共有リンク」「グループ参加」など複数の経路で成立する点です。出回ったリンクや昔の権限が残っていると、本来見せたくない人もアクセスできてしまいます。RAC はこれらの経路すべてに「指定グループのメンバーであること」という条件を追加するため、グループ外の人は既存の権限やリンクがあっても開けなくなります。たとえば「経営企画サイト」を『経営企画部グループ』限定にすれば、過去に一時的に権限をもらった人や古いリンクを持つ人を一括で締め出せます。これが RAC の強みです。
操作手順は次のとおりです。
- Microsoft Entra のセキュリティグループ、または Microsoft 365 グループを用意(または特定)する
- SharePoint 管理センターで 「ポリシー」→「アクセスの制御」 を開く
- 「サイトレベルのアクセス制限」 を有効にし、アクセスを許可するグループを指定する
- 保存する
あわせて、共有設定そのものの見直しも行います。SharePoint は既定で共有範囲が緩めになっていることが多く、ここを締めるだけでも発生源を減らせます。SharePoint 管理センターの 「ポリシー」→「共有」 から、主に次の点を調整します。
- 共有リンクの既定のユーザー指定: リンク作成時の既定を「リンクを知っているユーザー」ではなく 「特定のユーザー」 や 「自分の組織内のユーザーのみ」 にし、意図せず広範囲なリンクが作られないようにする
- 既定のアクセス許可: 既定を「編集」ではなく 「表示」 にして、書き換えのリスクを下げる
- 外部共有の範囲: 最も緩い「すべてのユーザー」から、「新規および既存のゲスト」や「自分の組織内のユーザーのみ」など、自社の方針に合った範囲まで引き下げる
- リンクの有効期限: 「リンクを知っているユーザー」リンクには有効期限(例:30日)を設定し、リンクが残り続けないようにする
既定値を一段締めておくと、その後に作られる共有が自動的に安全な設定になるため、棚卸し(2.1〜2.2)と並行して早めに着手する価値があります。
制限付きコンテンツ検出(RCD)と制限付きアクセス制御(RAC)は役割が違います。RCD は「見つかりにくくする(権限は維持)」、RAC は「アクセスできる人を限定する(権限を変える)」。まず RCD で露出を下げ、その後で本来あるべき権限へ RAC や共有設定で締め直す、という順序が現実的です。
放置サイトを片づける(ライフサイクル管理・アーカイブ)
過剰共有のリスク源の多くは、オーナー不在・非アクティブな放置サイトです。SharePoint 高度な管理のライフサイクル管理ポリシーで自動的に検出・整理できます。
- サイト所有権ポリシー(オーナーシップ): オーナーが不在・不足のサイトを検出し、通知する
- Inactive Site Policies(非アクティブサイト ポリシー): 使われていないサイトを自動検出し、オーナーに通知する
- サイト構成証明ポリシー: オーナーにサイトの必要性・権限・共有設定の確認を求める
設定手順は次のとおりです。
- SharePoint 管理センターで 「ポリシー」→「サイトのライフサイクル管理」 を開く
- 目的のポリシー(サイト所有権ポリシー / Inactive Site Policies / サイト構成証明ポリシー)で 「開く」 を選ぶ
- ポリシーを作成し、強制アクションとメール通知を設定する(基準を満たさないサイトを自動検出し、オーナーや管理者に対応を促す)
不要になったサイトは Microsoft 365 アーカイブ に退避できます。アーカイブされたサイトは、権限とメタデータを保持したまま、ユーザーからはアクセスできなくなり、Copilot の参照・検索(インデックス)の対象からも外れます。利用には Microsoft 365 アーカイブの有効化が必要で、管理センターの 「アーカイブ済みサイト」 ページから管理します。
応用・発展:中身の保護と、継続的な統制
第2章でデータの「場所と共有範囲」を締めました。ここからは Microsoft Purview で、データの「中身」と「利用」を守ります。
秘密度ラベルで「中身」を保護する
秘密度ラベル(sensitivity labels) は、ファイルに「社外秘」「極秘」といった機密度の印を付け、暗号化などの保護を適用する仕組みです。Copilot との関係で重要なのは、ラベルが暗号化を適用している場合、Copilot がそのデータを回答に使うには、ユーザーが抽出(EXTRACT)権利と表示(VIEW)権利を持っている必要がある点です。
つまり、権限設定(第2章)に加えてもう一段、「中身そのもの」に保護をかけられます。仮に共有範囲の調整が漏れても、ラベルによる暗号化が最終的な保護として機能します。なお SharePoint / OneDrive で秘密度ラベルを有効化していないと、Copilot が扱える暗号化ファイルは「Office アプリで開いている最中のデータ」に限られるため、まず有効化しておくと保護の範囲が広がります。
導入のポイント:
- SharePoint と OneDrive で秘密度ラベルを有効化する
- 機密度に応じたラベル(社外秘・極秘など)を設計し、暗号化を適用する
DLP とインサイダー リスク管理で「利用」を制御する
過剰共有対策は「社内で見えてしまう」リスクへの対策ですが、もう一つ「社員が社外の生成AIに機密を貼り付けてしまう」リスクもあります。ここには Microsoft Purview の DLP(データ損失防止) が効きます。
Purview にオンボードした(=Purview の管理対象として登録・接続した)Windows 端末では、エンドポイント DLP ポリシーによって、ブラウザ経由で第三者の生成AIサイトに機密情報を貼り付けようとした操作を警告またはブロックできます。たとえば ChatGPT にクレジットカード番号を貼り付けようとするとブロックする、といった制御です。
加えて、インサイダー リスク管理(Insider Risk Management) の「危険な AI 使用状況(Risky AI usage)」ポリシー テンプレートを使うと、プロンプトインジェクションや保護資料へのアクセスといった危険なAI利用を検知でき、結果は Microsoft Defender XDR に統合されます。なお、プロンプトインジェクションそのものの仕組みと対策は、当社の関連記事「【セキュリティ】プロンプトインジェクションの対策方法を徹底解説する」でも詳しく解説しています。
補足: エンドポイント DLP の対応アクション(警告/ブロック)は対象プラットフォームによって異なります。導入前に、自社の端末構成で利用できる機能を公式ドキュメントで確認してください。
「AI 用データ セキュリティ態勢管理」で可視化し、監査ログで追跡する
「どこから手を付ければよいか分からない」という場合の入口になるのが、AI 用データ セキュリティ態勢管理(DSPM for AI) です。組織全体の AI 利用を発見・保護・統制するためのダッシュボードで、内部の過剰共有をデータリスク評価として可視化できます。
また、Copilot のプロンプトと応答は統合監査ログに記録されます。いつ・誰が・どのファイルを参照してやり取りしたかを後から追えるため、インシデント調査や監査対応で役立ちます。eDiscovery(電子情報開示)での検索や、アイテム保持ポリシーによる自動保持・削除も利用できます。
これらは、改正個人情報保護法をはじめとする規制対応にも直結します。改正個人情報保護法でもログ・監査による実効性の確保が論点になっており、Purview の監査・保持・DSPM for AI は、こうした「AI利用を後から検証できる業務プロセスにする」という要請に対応します。
継続運用:30日ごとの再評価と「SharePoint 管理エージェント」
過剰共有対策は一度で終わりではありません。サイトと共有は日々増えるため、コンテンツ管理の評価を30日ごとに手動で再実行(推奨サイクル)し、新たなリスクを継続的に減らしていく運用が前提です。
その際に役立つのが SharePoint 管理エージェント(SharePoint Admin Agent) です(SharePoint 管理センター右上の「Copilot」ボタンから開けます)。「テナント全体でコンテンツがどう分布しているか見せて」といった質問を投げると、関連するデータとレポートを集めて分析・推奨を返してくれます。レポートを一つずつ開かなくても状況を把握できるため、継続運用の負荷を下げられます。
まとめと運用チェックリスト
Microsoft 365 Copilot は既存の権限設定をそのまま反映します。緩い権限はそのまま露出につながります。だからこそ、導入の前に権限を整えておけば、安全に大きな価値を引き出せます。要点を整理します。
要点の整理
- Copilotは新しい権限を作らない: 既存の過剰共有がそのまま顕在化するため、対策の主役は「アクセス権の棚卸しと統制」です。
- 棚卸し → 封じ込め → 保護、の順で進める: データ アクセス ガバナンス レポートで危険なサイトを可視化し、制限付きコンテンツ検出で露出を下げ、制限付きアクセス制御や共有設定で締め直します。
- RCD と RAC を使い分ける: まず制限付きコンテンツ検出(RCD)で露出を下げ、その後で制限付きアクセス制御(RAC)によりアクセスできる人を締め直すのが現実的です。
- Purview で「中身」と「利用」を守る: 秘密度ラベルで暗号化、DLP で社外AIへの貼り付けを制御、監査ログで追跡します。
- 継続運用が前提: 30日ごとの再評価と SharePoint 管理エージェントで、増え続けるリスクに対応し続けます。
情シス・セキュリティ担当向け 導入前チェックリスト
- コンテンツ管理の評価を実行し、過剰共有・放置サイトを洗い出したか
- データ アクセス ガバナンス レポート(EEEU・共有リンク・サイトの権限)で高リスクサイトを特定したか
- 高リスクサイトに制限付きコンテンツ検出を適用し、Copilot 検索から外したか
- 限定すべきサイトに制限付きアクセス制御(Entra/Microsoft 365 グループ)を設定したか
- 既定の緩い共有設定(「ポリシー」→「共有」)を見直したか
- オーナー不在・非アクティブサイトをライフサイクル管理・アーカイブで整理したか
- SharePoint / OneDrive で秘密度ラベルを有効化し、機密に暗号化を適用したか
- エンドポイント DLP で、社外生成AIサイトへの機密貼り付けを警告/ブロックする設定をしたか
- Copilot のプロンプト/応答が監査ログに記録される運用と、保持ポリシーを定めたか
- 30日ごとの再評価を運用サイクルに組み込んだか
使用環境: 本記事は2026年6月時点の Microsoft Learn 公式ドキュメントを基に記述しています。管理画面の名称・操作手順や機能のライセンス要件は、今後のアップデートで変わる可能性があります。導入前に公式ドキュメントで最新の内容をご確認ください。
最後に
私たちは、単にシステムを組むだけの開発会社ではありません。低コストで高品質なAIツールの構築から、ROI(投資対効果)を最大化する導入ロードマップの策定、社内スタッフが自らAIを運用・改善できる体制の構築まで、AI導入の成功に必要なすべてを最初から最後まで丸ごと支援いたします。
実は、ご相談いただく方のほとんどが「何が分からないかも分からない」という状態からのスタートです。構想段階でも、ただのアイデアベースでも構いません。
まずは、あなたのお困りごとをそのまま聞かせていただけませんか?貴社のビジネスを加速させるパートナーとして伴走いたします。
参考文献
- Microsoft.「Secure & Governed Data Foundation for Microsoft 365 Copilot – Foundational Deployment Guidance」Microsoft Learn.(過剰共有是正・ガードレール・規制対応の3本柱、SharePoint 高度な管理/Purview の役割の出典。2026年6月22日参照)
- Microsoft.「Get ready for Microsoft 365 Copilot with SharePoint Advanced Management」Microsoft Learn.(コンテンツ管理の評価、データ アクセス ガバナンス レポート、制限付きコンテンツ検出、制限付きアクセス制御、ライフサイクル管理・アーカイブ、SharePoint 管理エージェントの操作手順の出典。2026年6月22日参照)
- Microsoft.「Restrict discovery of SharePoint sites and content(SharePoint サイトとコンテンツの検出を制限する)」Microsoft Learn.(制限付きコンテンツ検出の正式名称・仕様・操作手順・UIラベルの出典。2026年6月26日参照)
- Microsoft.「Microsoft Purview data security and compliance protections for Microsoft 365 Copilot and other generative AI apps」Microsoft Learn.(秘密度ラベルと抽出(EXTRACT)権利、エンドポイント DLP、インサイダー リスク管理、DSPM for AI、監査ログの出典。2026年6月22日参照)
- 個人情報保護委員会.「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しについて」.(改正個人情報保護法でログ・監査による実効性確保が論点となっている点の出典。2026年6月22日参照)
- Concentric AI.「Too Much Access: Microsoft Copilot Data Risks Explained」.(重要データの過剰共有割合の出典。ベンダー調査。2026年6月22日参照)
- EPC Group.「Microsoft Copilot Oversharing Audit: Enterprise Guide 2026」.(導入済みテナントの過剰共有監査結果の出典。ベンダー調査。2026年6月22日参照)
- Microsoft.「Generate AI insights for Microsoft SharePoint Advanced Management」Microsoft Learn.(AI insights がレポートの一部データを対象に分析する点の出典。2026年6月22日参照)
