【ノーコードソリューションズ|AI Weekly 号外】AI研修と設備投資の助成金
こんにちは。ノーコードソリューションズの仙入です。今回は号外として、助成金の話だけをお送りします。取り上げるのは、2つの制度をめぐる3つの動きです。8月3日、厚生労働省が人材開発支援助成金の支給要領を改正し、訓練名に「AI」と付いているだけでは助成対象にならないことを、判断の例つきで示しました。同じ助成金には、研修と設備投資をそろえると出る加算が今年度から付いています。中小企業なら経費の75%が出るコースですが、使えるのは令和8年度末までです。生産性向上の設備投資に最大600万円が出る業務改善助成金は、9月1日に申請の受付が始まります。3つとも締切が近く、しかも動く順番を間違えると出ません。
8月3日、厚生労働省が人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の支給要領を改正しました。変わったのは、対象になる訓練の中身です。DX化・GX化に関する訓練のうち、2つの型が助成対象から外れます。1つは、職業または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させるもの。もう1つは、職業や職務の種類を問わず、職業人として共通して必要なものです。リーフレットは分かれ目を例で示しています。助成対象になるのは「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練」。対象外になるのは「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」と「DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練」です。
受講回数にも上限が付きました。同一の労働者が助成を受けられるのは一の年度で3回まで、うちeラーニングによる訓練は1回までです。回数に算入されるのは、8月3日以降に提出した計画届に基づく訓練です。8月2日以前に契約や申込、発注を済ませた訓練には経過措置があり、条件はパンフレットに整理されています。
このコースの経費助成は中小企業で75%(大企業60%)、賃金助成は受講者1人1時間あたり1,000円(大企業500円)です。経費助成には1人1訓練あたりの限度額があり、中小企業なら訓練時間に応じて30万円から50万円です。eラーニングと通信制は15万円、定額制サービスは1人1か月あたり2万円になります。そしてこのコースが使えるのは、令和8年度末までです。延長されるかどうかは公表されていません。
分かれ目は訓練の名前ではありません。対象労働者の職務にそのまま使えるかどうかで決まります。ただし、具体的でありさえすれば通るわけではありません。OFF-JTであることや実訓練時間が10時間以上あることなど、もともとの要件はそのまま全部かかります。全社員を集めて生成AIの概論とプロンプトの型を教える形は、名前が「AI研修」でも通りにくくなりました。対象者の選び方にも同じ基準がかかります。リーフレットは、同じ内容の訓練でも、その業務を実際に担当する人が受けるなら対象、担当しない人が受けるなら対象外になると例示しています。全員参加の形にすると、担当していない人のぶんが外れます。経営の側では、研修の予算を組む単位が、受講人数から「どの部署のどの作業を変えるか」へ移ります。働く側にも影響します。担当業務に紐づいた内容のほうが、会社の承認を取りやすくなります。
時間の数え方にも注意が要ります。助成の対象になるには実訓練時間数が10時間以上必要ですが、対象外の内容がカリキュラムの一部に入っていると、その時間は算定から除外されます。概論やマナーの回を前に置くと、除外したあとの時間が10時間を割ることがあります。
弊社が研修を設計するときも、概論からは始めません。その部署が毎週やっている作業を、そのまま教材にしています。改正後の要件は、弊社がこれまでとってきた作り方と重なります。カリキュラムを固める前に、管轄の労働局か社会保険労務士に計画を見てもらってください。順番を逆にして、研修を実施してから相談すると、直せる余地がなくなります。
先に来るのは日程です。職業訓練実施計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ出す必要があります。9月中に始める研修は、届出の期限をすでに過ぎている可能性が高いです。申請の前提として、社内の職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定も要ります。どちらもまだなら、選任と策定から始めることになります。逆に、10月以降に始める研修なら、いまから計画届の準備に入って間に合う時期です。
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まずやること|代表・仙入から
予定しているAI研修の開始日から1か月を引いて、計画届の提出が間に合うかを先に確かめる。間に合うなら、各コマについて「誰のどの作業に、そのまま使えるか」を1行で書き出してみましょう!
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令和8年4月8日の改正で、事業展開等リスキリング支援コースに設備投資加算が新設されました。通常分の助成額とは別に追加で支給されますが、使うための条件は多めです。助成率は50%、上限は支給対象労働者1人につき15万円、10人以上で150万円です。
事業主側の要件は4つです。中小企業であること、事業展開等実施計画に基づいて事業展開等に取り組んでいること、訓練終了日の翌日から1年以内に対象労働者の賃金を5%以上引き上げること、設備投資実施計画を作って訓練終了後から支給申請日までに訓練で使った機器と同種の設備を導入することです。賃上げは、就業規則等に定めた資格等手当で3%以上増やす形に替えても構いません。
研修と設備と賃上げの3つがそろって、初めて出る加算です。1つでも欠けると支給されません。訓練の計画届とは別に「設備投資加算に係る設備投資実施計画」を作り、導入予定の機器の見積書を2社分そろえます。訓練の側の条件も細かいです。通学制か同時双方向型の通信訓練であることが要り、eラーニングだけで完結する研修では要件を満たしません。実技で機器・設備を実際に使う必要があり、予習や復習でだけ使う形は該当しません。企業内の人事・人材育成に関する計画に基づく訓練も、この加算からは外れます。
ソフトウェアも対象です。パンフレットは導入方法として、購入・リース契約・ライセンス契約・既存の機器の変更を挙げています。データベース構築、システム導入、専用アプリ開発にかかる経費も対象です。逆に外れるものもはっきりしています。パソコン・タブレット・スマートフォンとその周辺機器、経営コンサルタント料などの無形商材、汎用事務機器や空調は対象になりません。他の助成金や補助金を申請している機器も外れます。導入費用は10万円以上が必要で、購入価格のほか設定費用や設置・撤去の費用、リース契約にかかる費用を含められます。上限の150万円に届くのは、支給対象労働者が10人以上いて、対象になる設備費が300万円以上ある場合です。助成率が50%なので、設備費が300万円に届かなければ上限まで出ません。
賃上げの条件も軽くありません。対象労働者の全員について、訓練終了から1年以内に賃金を5%以上引き上げる約束です。判定は、改定の前後3か月の賃金総額を比べて行われます。研修の実施日を決める前に、賃金改定の予定と並べておくほうが早いです。企画だけ先に走らせると、日程が固まってから「対象者全員の賃金を5%上げるか」を決めることになります。これは即決できる話ではないので、加算を取れないまま研修だけ実施する形になりがちです。なお、同じ設備や同じ費用は、この加算と3本目の業務改善助成金の両方には計上できません。設備を決める前に、どちらで申請するかを整理してください。
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まずやること|代表・仙入から
今年度中に予定している研修があるなら、賃上げか資格等手当の予定と並べて1枚にする。訓練の終了予定日から1年以内に賃金改定日が入るか、日付で確かめてみましょう!
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令和8年度の業務改善助成金は、9月1日に申請の受付が始まります。事業場内で最も低い賃金を50円以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。使えるのは中小企業・小規模事業者で、申請時の事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金を下回っていることが条件になります。基準になるのは、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金です。
上限は600万円です。助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら5分の4、1,050円以上なら4分の3です。コースは引き上げる額で50円・70円・90円の3つに分かれ、引き上げる労働者の人数で上限額が変わります。90円コースで10人以上を引き上げたときの600万円が最大で、この10人以上の区分は特例事業者だけが対象です。実際に受け取る額は、設備投資等にかかった費用に助成率を掛けた金額と、上限額を比べて安いほうです。600万円を受け取るには、助成率5分の4なら750万円、4分の3なら800万円の対象経費が要ります。
申請できるのは9月1日から、その事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日か、11月30日のいずれか早い日までです。令和8年度の改定額は、答申のあと異議申出の公示などの手続を経て決まります。北海道労働局は8月5日、効力発生日を「現時点では令和8年10月1日が見込まれます」と発表しました。10月の頭に発効するなら、申請に動ける期間は1か月ほどです。発効日は都道府県ごとに違うので、自社の締切は管轄の労働局で確かめてください。賃金の引上げは発効日の前日までに終える必要があり、設備の納品と支払いは、原則として交付決定の属する年度の1月31日が期限です。
この助成金でいちばん多い取りこぼしは、順番です。交付決定の前に設備を導入すると、助成の対象になりません。見積もりを取る。申請する。交付決定を待ってから発注する。この順序を崩すと、金額の条件を満たしていても支給されません。お金が入るのも後です。交付決定のあとに事業を実施し、設備の代金は自社で払い、実績報告と支給申請を経て振り込まれます。手元の資金と入金の時期を、先に見ておいてください。動ける期間を考えると、今週のうちに見積もりの手配へ入る計算になります。
引き上げる対象になるのは、週の所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者です。複数回に分けた引上げは認められず、引上げ後の額は就業規則等に定める必要があります。予算の範囲内での交付なので、期間内に募集が終わることもあります。申請は同一事業所で年度内に1回までです。今年度に使うと、その年度内の再申請はできません。
厚生労働省が挙げている対象経費の例には「顧客管理情報のシステム化」があります。ただしこれは例の1つです。労働局が見るのは、その導入で対象の事業場の作業時間や労働能率がどう改善するかで、契約の前に確認が要ります。一方で、PC・スマートフォン・タブレットとその周辺機器の新規導入は原則として対象外です。認められるのは、物価高騰などで利益率が下がった特例事業者だけです。判断に迷うところは、専用のコールセンター(0120-366-440、平日9時から17時)でも確認できます。
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まずやること|代表・仙入から
事業場内でいちばん低い時給と、自県の地域別最低賃金の改定予定額を並べ、50円・70円・90円のどのコースなら届くかを見る。あわせて管轄の労働局で発効日を確認。設備の候補があるなら、発注より先に見積もりだけ取っておきましょう!
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3つに共通しているのは、中身と順番で結果が決まる点です。研修は名前が「AI研修」でも、内容が汎用なら8月3日以降は対象になりません。設備投資加算は、研修と設備と賃上げがそろって初めて出ます。業務改善助成金は、交付決定より先に発注した時点で対象から外れます。金額の条件をいくら満たしていても、中身と順番を外すと支給されません。
どれも、まず期限に間に合うかを確かめるところからです。なお、助成の対象から外れる内容でも、リテラシー教育や安全教育のように実施する価値があるものはあります。助成が出るかどうかと、やる価値があるかどうかは分けて考えてください。
制度の可否を判断するのは管轄の労働局です。金額や期限は本号の執筆時点のもので、要綱や要領は更新されます。申請の前に最新版をご確認ください。弊社は申請の支援を行っていませんが、研修の中身と、AIで何をどこまで自動化するかのご相談はいつでも受け付けています。
次の通常号では、いつもどおり先週の重要AIニュース3本をお届けします。号外で扱ってほしい制度や話題があれば、この返信で教えてください。
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