【ノーコードソリューションズ|AI Weekly vol.10】先週の重要AIニュース3本(155年の梅干し店が社内ツールを自作、GPT-5.6 Solの返答が最大14倍速に、ChatGPT広告が日本を含む5市場へ)
こんにちは。ノーコードソリューションズの仙入です。先週、小田原の梅干し専門店を取材した記事が出ました。その店では、チャット版のClaudeにコードを出力させ、コピー&ペーストするだけで社内ツールを作り続けているそうです。商品数によっては1案件の出荷手続きに2時間かかっていた商品規格書も、いまは同店が自動で出しています。海外では、OpenAI社がGPT-5.6 Solの返答を最大14倍の速さで返す仕組みを発表しました。同じ週に、ChatGPTの広告が日本を含む5つの国と地域で立ち上がっています。3本に共通しているのは、AIの性能より自社側の準備が結果を決めている点です。
出荷のたびに手作業で用意していた書類を、自動で出せるようにした会社があります。8月14日にITmediaが取材記事を公開した、神奈川県小田原市の梅干し専門店「ちん里う本店」です。同店は1871年創業で、ECサイトの取り扱いは約8000点を超えます。経営を担う常務取締役のゾェルゲル・ニコラさんが、2026年4月にClaudeを導入しました。以来、ゾェルゲルさん自身が、商品規格書の入力ツール、贈答履歴の案内メールを一括送信するツール、取引先別の卸売価格表を出すツールなどを作り続けています。効率化された業務のひとつが出荷です。出荷に付ける商品規格書は、日本語版と英語版を用意する、原材料ごとに注釈書を作る、といった手間があり、商品数によっては1案件の出荷手続きに2時間かかっていました。同店はいま、その規格書を自作のポータルサイトから自動で出しています。使っているのは開発者向けの道具ではありません。一般的なチャット版のClaudeに「この機能を実装するためのコードを、そのままコピー&ペーストできるように出力して」と頼んでいるだけだと説明されています。土台には、クラウド型ERPのNetSuiteと生成AIをつなぐ連携機能があり、同店は商品情報・在庫・販売実績をClaudeが参照できる状態にしてあります。
成果が出た理由を、ゾェルゲルさんは「データがあるからできることが無限大です」と語っています。同社はNetSuiteを入れてから数年を、原材料・ラベル情報・サイズといったデータの手入力に使ってきました。任せ方も慎重です。Claudeに与えているのはデータを読む権限だけで、書き込みや変更はできません。データが壊れる心配がないので、社内の反対も出にくくなります。もう1つ効いているのが画面の作り方です。梅干し職人にはPC操作が苦手な人が多く、マウスの使い方から説明した相手もいたそうです。そこで、その人が更新すべき項目だけを表示する画面を用意し、入力すれば自動で保存されると本人に言い切れる状態にしました。「AIはスイッチではなくレバー」という言葉のとおり、テンプレートに沿って印刷用ファイルを作るところから始めて、任せる範囲を少しずつ広げています。
小規模な会社ほど開発会社に頼む予算が取りにくい、という前提は今も変わっていません。変わったのは、社内の担当者が自分で試せるようになったことです。ただし、記事に開発の所要時間は書かれていません。前提として、NetSuiteとの連携と、数年かけたデータの入力があります。弊社が最初のご相談でモデルの話より先に「そのデータは今どこにありますか」と聞くのも、同じ理由です。もう1つ、社内で作るときに効くのは、誰が作るかを先に決めておくことです。作った本人しか直せない状態のままだと、その人が休んだ日に業務ごと止まります。ツールの置き場所と、直せる人の連絡先。この2つをツールごとに書き残しておくと、あとから引き継げます。
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まずやること|代表・仙入から
社内でいちばん多く作っている書類を1つ選び、その書類に必要な情報がどのシステムのどの画面に入っているかを書き出す。担当者しか知らない項目が出てきたら、本人に聞いて同じ紙に書き足す。
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現地時間8月13日、OpenAI社が「Ultrafast」を発表しました。Ultrafastは、同社の「GPT-5.6 Sol」を動かす新しいサービス階層です。発表によると、出力を返す速さは通常の処理と比べて最大14倍、毎秒最大750トークンです。トークンは文章を細かく区切った単位で、日本語ならおおよそ1文字が1〜2トークンにあたります。速くなるのは出力を書き出す部分で、業務全体の所要時間が14分の1になるという発表ではありません。計算基盤はCerebras社です。提供はまずAPIからで、現時点では限られた顧客だけが使えるプレビューです。同社は容量が増え次第、対象を広げるとしており、案内を受け取るための登録フォームを公開しています。発表に料金の記載はありません。同社は、これまで実時間の速さがほしければ小さいモデルや専用のモデルを選ぶしかなかったとしています。想定する用途に挙がっているのは、障害対応、金融の調査、カスタマーサポートと音声、コマースです。TechCrunchは、Claudeにも高速モードはあるが今回の速さには届かないと伝えています。
速さは体験の質を変えます。返事の遅いAIには、人は質問を1つに絞って、あとは自分で調べます。すぐ返ってくるAIには、思いついた順に聞きます。この違いは、使われる回数と、任せられる場面の広さに直結します。電話の一次対応、店頭での商品説明、社内からの問い合わせ。遅さを理由に見送ってきた用途は、どの会社にも1つや2つあるはずです。弊社が関わった案件でも、途中で止まる理由は精度より応答時間のほうが多いです。試作は動いたのに使われなくなった案件では、たいてい使う側が待ち時間で離れています。同時に、速いということは間違いも速く増えるということでもあります。速度が上がるほど、人がどこで確認するかを先に決めておく価値が上がります。
今の段階では、限られた顧客向けのプレビューです。今日から自社で使えるものではありません。一般提供の時期も料金も公表されていません。それでも準備はできます。社内でAIの導入が止まっている案件があるなら、止まっている理由を「速度」と「精度」に分けて書いておいてください。精度が理由なら、渡す資料と確認の手順を直す話になります。速度が理由なら、条件が変わったときに再開できる案件として置いておけます。理由を分けずに「まだ早い」とまとめてしまうと、条件が変わったことに気づけません。
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まずやること|代表・仙入から
社内で使っているAIを1つ選び、質問してから答えが出そろうまでの秒数を測る。あわせて、待っているあいだ担当者が何をしているかを書き留め、別の作業に移っているなら、その工程自体を外せないか検討する。
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8月11日、OpenAI社が広告についての公式ページを更新し、ChatGPT Adsが英国・メキシコ・ブラジル・日本・韓国で立ち上がったと明記しました。日本ではこれが最初ではありません。6月19日にパイロットとして表示が始まり、電通デジタル社などが国内のローンチパートナーとして出稿の取り扱いを開始しています。今回の更新で5つの市場が同じ段階にそろった形です。ただしOpenAI社は、この広告の取り組み全体を引き続き「テスト」と位置づけています。広告が出るのは、ログインしている成人のうち、無料プランと「Go」プランの利用者です。Plus・Pro・Business・Enterprise・Educationでは表示されません。広告はスポンサー提供であることが明示され、回答とは視覚的に分けられます。どの広告を出すかは、会話の話題・過去のチャット・過去の広告への反応を突き合わせて決まります。広告主が受け取るのは表示回数やクリック数といった集計値だけで、チャットの中身・履歴・記憶・個人情報にはアクセスできないとされています。
広告の枠ができたのは、何を買うかを決める前の相談の場面です。条件を挙げて絞り込む作業が、検索窓からチャットへ移りつつあります。会社としての論点は2つに分かれます。1つは、出稿するかどうか。もう1つは、出稿しない場合でも、AIが答えを作るときに自社の情報が材料として拾われる状態になっているか。後者で問われるのは、事業内容・対応地域・進め方・実績が、人にもAIにも読める形で1か所にまとまっているかどうかです。広告の掲載枠とAIの回答は別の仕組みですし、書けば必ず紹介されるわけでもありませんが、書いていないものは材料になりません。比較検討の入口がチャットに移ったぶん、候補に挙がらない会社は、失注ではなく検討にすら入らない形で消えます。
検索からの流入で問い合わせを取ってきた会社ほど、この変化は早めに効いてきます。先に決めるのは、出稿するかどうかではありません。受け皿になる自社のページに、見込み客が判断に使う情報が載っているかどうかです。順番を逆にすると、広告費で人を連れてきても、そのページで止まります。弊社も「京都でAI開発を頼めるところは」と毎週聞いて試していますが、順位が動くより先に「自社のどの項目が引用されるか」が変わります。会社概要より、対応地域と進め方のほうが拾われやすい、というのが今のところの観測です。
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まずやること|代表・仙入から
ChatGPTに「(自社の商圏)で(自社のサービス)を頼めるところは?」と言い方を変えて2〜3回聞き、出てきた会社のページを自社のページと見比べて、足りない項目を1つ書き出す。結果は毎回変わるので、順位としては扱わない。
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今週は、作る側・速さ・見つけられ方という3つの話が並びました。155年の梅干し店はデータを読む権限だけを渡して社内ツールを自作し、OpenAI社は返答の速さを一段上げる仕組みを限定で公開し、ChatGPTの中には広告の枠ができました。3本とも、AIの性能そのものより自社側の準備が結果を決めています。渡せるデータがそろっているか、待たされる秒数を測ってあるか、判断材料がページに書いてあるか。今週1つだけやるなら、1本目です。よく作る書類を1枚選んで、必要な情報がどこにあるかを書き出す。それだけで、次に手を付ける場所が決まります。
返信でいただいた声はすべて読んでいます。今号でひとつ伺いたいのは、1本目のような「自社で作った話」と、3本目のような「見つけられ方の話」の、どちらをもっと増やすべきかです。ひとことで構いません。次号は、社内で作った仕組みが動き続けるかどうかの分かれ目を取り上げます。
どこまで任せて、どこで人が確認するのかをまとめた
「社内でのAIエージェント運用方法」など、
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