【ノーコードソリューションズ|AI Weekly vol.2】先週の重要AIニュース5本(SpaceX 9兆円買収ほか)
こんにちは。ノーコードソリューションズの仙入です。このメールでは、先週特に大きかったAIのニュースを5本に絞ってお届けします。お伝えしたいのは、AIがもう一部の専門家や大企業だけのものではなく、私たち一人ひとりの仕事のすぐ隣まで来ている、ということです。世界でも、足元の日本でも、企業がすごい勢いでAIに動いていて、使う人と使わない人の差は、これから思っている以上の速さで開いていきます。とはいえ、脅かしたいわけではありません。今日からできる小さな一歩もあわせてご紹介しますので、気になるものから目を通してみてください。
6月16日、ロケット開発のSpaceX社が、AIコーディング支援ツール「Cursor」を運営するAnysphere社を約9兆円(600億ドル)で買収すると発表しました。Cursorは、自然な言葉で指示するだけでプログラムを書いたり直したりできるツールで、創業からおよそ4年で年間売上が約4,000億円(26億ドル)規模まで急成長しています。SpaceX社は今年2月にイーロン・マスク氏のAI企業xAIと統合しており、この買収でAI事業を一気に強化します。報道では、買収を受けてSpaceX社の時価総額がアマゾン社やマイクロソフト社を上回り、米国で4番目に大きな企業になったとされています。なお、この買収は当局の承認を経て、2026年7〜9月期に完了する見通しです。
ロケットの会社が9兆円もの金額をAIのコーディングツールに投じた。この一点だけでも、ソフトを書くという専門的な仕事が、もう人間だけのものではなくなりつつあることが伝わってきます。そして、これはプログラミングに限った話ではありません。「指示すれば形にして、間違いがあれば直す」というCursorのような働き方は、見積書づくりや問い合わせへの一次対応、社内資料の作成といった、手順の決まった仕事へと確実に広がっていきます。経営の立場では、自社のどの業務がこの先AIに置き換わり得るのかを早めに見極めておくことが、設備投資や人員計画を考えるうえでの土台になります。
一方で、日々コードや書類に向き合う立場の方が、過度に身構える必要はありません。実際に起きているのは「AIに仕事を奪われる」ことよりも、「AIをうまく使える人に、仕事も評価も集まっていく」という変化のほうです。的確に指示を出し、返ってきたものの良し悪しを見分け、最後を仕上げる。この部分はしばらく人の役割として残ります。まずは自分の担当業務の中で、一つだけAIに任せてみてください。そこで得た手応えが、数年後の自分の立ち位置を変えていきます。
6月17日、ClaudeをつくるAnthropic社が、東京・ベンガルールに続くアジア3か所目の拠点として、ソウルオフィスを開設しました。あわせて、サムスンSDS社が「Claude Cowork」や「Claude Code」を社内に展開し、NAVER社は数千人のエンジニアにClaude Codeを導入、LG CNS社もClaudeを全社に広げると発表しています。さらにAnthropic社は、韓国の科学技術情報通信省と、AIの安全性やサイバー脅威への対策で協力する覚書を結びました。背景には、米政府による最先端AIの輸出規制があり、どの国のAIをどこまで使えるのかが、国家の問題として意識され始めています。
見逃せないのは、サムスンやLGといった韓国を代表する企業が、お試しの実証実験ではなく、いきなり全社規模でAIを業務に組み込み始めたことです。しかも導入されているのは、指示した仕事を最後までやり切るタイプのAIです。同じ製造業やIT業界で競い合う隣国で、これだけ大胆な動きが起きている。この事実は、経営者であれば「自社が動き出すのはいつか」を考える材料になりますし、判断を先延ばしにするほど差が開いていくことも示しています。
同時に、このニュースはもう一つの現実も突きつけています。どの国のAIをどこまで使えるかが、国どうしの取り決めに左右され始めた、ということです。便利だからと特定のサービス一つに業務を預けきると、ある日使えなくなったときに立ち行かなくなります。導入を検討する際は、性能や価格の比較に加えて、提供元はどこの国か、止まったときの代わりがあるか、までを一度確認しておくと安心です。実務でAIに触れる機会のある方なら、一つのツールに習熟するだけでなく、複数を試して使い分けの勘所をつかんでおくことが、そのまま組織の底力になります。
6月15日、日本のAIスタートアップSakana AI社が、初めての商用プロダクトとなる自律型のリサーチAI「Marlin」を発表しました。Marlinは、事業計画づくりや市場調査といった専門性の高い調べものを、人が見ていなくても最大8時間ほど自分で進め、数十から約100ページにおよぶ調査レポートや、プレゼン資料まで作り上げます。デモでは、60〜80件の情報源を自分で当たって報告書をまとめてみせました。まるで企業の戦略担当役員のように、自分で仮説を立て、情報を集め、食い違う内容を突き合わせて結論に仕上げます。4月のクローズドな試験では、約300人の専門家が実際の業務で使って精度を磨いたといいます。料金は、1回ごとの従量制(1回100クレジット)か、月額15万円程度からのプランです。Sakana AI社は、いまのAIの土台になっている論文「Attention Is All You Need」の著者の一人ライオン・ジョーンズ氏らが立ち上げた会社で、規模を競うより、日本市場に根ざした実用的なAIをつくることを掲げています。
ここで考えたいのは、Marlinが任されているのが、これまで若手社員やコンサルタントが何日もかけてきた「調べてまとめる」仕事だという点です。資料を集め、要点を整理し、報告書に仕上げる。多くのビジネスパーソンが日々こなしているこの作業を、AIが8時間ぶっ通しで肩代わりするようになりました。脅したいわけではなく、仕事の中身が静かに変わっていく、という素直な事実です。調べてまとめること自体の価値は少しずつ下がり、その先で何を決め、どう動くかという、人の判断の比重が増していきます。
しかも、これを手がけたのが海外の巨大企業ではなく、日本発のスタートアップだという点も見逃せません。日本語や国内のビジネス事情に合ったAIが、すぐ手の届くところに増えています。経営の立場では、調査やレポート作成のように時間のかかる業務を、こうしたサービスにどこまで任せられるか、一度試してみる価値があります。働く一人ひとりにとっても、リサーチはAIに任せて、自分は「集まった材料をどう読み、どう決めるか」に時間を使う、という進め方に早く慣れておくことが、これからの差になります。まずは身近な調べものを一つ、AIに頼んでみてください。
6月、Google社が、処理が速く扱いやすい最新モデル「Gemini 3.5 Flash」を、Geminiアプリや検索のAIモード、ビジネス向けのWorkspace(GmailやドキュメントなどGoogleの業務ツール群)まで、主要な製品の既定モデルにしました。利用者が特に設定をしなくても、自動的にこの最新モデルへ切り替わります。これに伴い、一つ前の世代にあたるFlashモデルは選択肢から外れ、順次提供を終える予定です。新しいモデルは速さと安さが持ち味で、5月のGoogle I/Oで発表されたものが、各製品の標準へと広がった形です。
見逃せないのは、利用者の意思に関わらず最新モデルへ自動で切り替わる点です。性能が上がって安くなるのは歓迎すべきことですが、裏を返せば、自分たちが使うAIの中身が、知らないうちに変わるということでもあります。特定のモデルの挙動に合わせて業務の手順やAIへの指示文を作り込みすぎると、入れ替わった瞬間に結果がぶれることがあります。経営の立場では、AIを前提にした業務をつくるときほど、一つのモデルに縛られない、差し替えのきく形にしておくと安心です。あわせて、速くて安いモデルが標準になったことは、全社にAIを広げる費用が下がったという朗報でもあります。
もう一つ、身近な変化があります。GmailやドキュメントといったふだんのWorkspaceの中に、これまでより賢いAIがすでに入った、ということです。新しいツールをわざわざ契約しなくても、目の前の画面で、要約や下書き、翻訳を頼める状態になっています。難しく考えず、今日のメール返信や議事録づくりで一度頼ってみてください。普段から使い慣れておけば、モデルがまた新しくなっても、戸惑わずに使い続けられます。こうした小さな習慣の差が、数年後には大きな力の差になっていきます。
6月16日、マイクロソフト社が、Microsoft 365向けのエージェント型AI「Copilot Cowork」を全世界で一般提供(GA)しました。Outlook、Teams、Word、ExcelなどMicrosoft 365全体を横断し、数時間から数日かかる複数ステップの仕事を、自分で計画して最後まで実行します。これまでのチャット型のCopilotが下書きや提案を返すのに対し、Coworkは仕上がった成果物を返すのが特徴です。料金は使った分だけ支払う従量課金(Copilot Credits)で、軽い作業はおよそ125クレジット、重い作業は2,500クレジット程度を消費します。利用には1人ずつMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要で、管理者はコスト管理の画面から上限や使用状況を設定できます。
多くの会社が毎日使っているMicrosoft 365に、仕事を任せて完了まで持っていくAIが標準で組み込まれた意味は、決して小さくありません。ただ、手放しで歓迎する前に、経営として気をつけたい点が二つあります。一つはコストです。使った分だけ請求される仕組みのため、何をどこまで任せるかを決めないまま全社に配ると、翌月の請求額が読めなくなります。もう一つは権限とデータの扱いで、AIがどの情報まで見て動くのかを曖昧にしたままだと、思わぬ情報の漏れにつながりかねません。導入の前に、対象とする業務・利用ルール・アクセスできる範囲を決めておくことが欠かせません。
使う側にもコツがあります。チャットの感覚で短い指示を出すだけでは、数時間かかるような仕事は思ったとおりに仕上がりません。何を、いつまでに、どんな状態になったら完了とするのか。ここを言葉にして渡せるかどうかで、返ってくる成果物の出来が大きく変わります。最初は小さな仕事から任せ、AIとのやり取りに慣れていくのがおすすめです。なお弊社では、このCopilot Coworkについて、どの業務を任せるかの設計から、コストの管理、現場での使いこなしまでをまとめて支援する導入支援・活用研修を始めました。気になる方はお気軽にご相談ください。
先週のニュースを振り返ると、9兆円規模の買収、海外の大企業による全社導入、日本発スタートアップによる「8時間ひとりで働くリサーチAI」の商用化、そして普段使うツールへの標準搭載まで、AIがあらゆる場所で当たり前になっていく流れがはっきり見えてきます。ここで本当に怖いのは、AIに仕事を奪われることよりも、まわりが当たり前に使うなかで、自分だけ使えないまま取り残されてしまうことです。逆に言えば、今から少しでも触れておけば、この波にきちんと乗れます。難しく考える必要はありません。まずは普段の仕事の中で、メールの下書きや資料の要約など、一つだけAIに頼んでみてください。私たちノーコードソリューションズは、Claude CodeやDify、自作のChrome拡張、今回ご紹介したCopilot Coworkまで使って、御社と、そこで働く一人ひとりがAIを仕事に活かせるよう、企画から実装、研修までお手伝いしています。何から始めればいいか分からない、という段階からのご相談も歓迎です。どうぞお気軽にお声がけください。
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